またまたツイッターにて楽しくお話させていただいた【卵を万能薬と勘違いしている長】のネタを勝手ながら書かさせていただいています。嵐堂さんの口調が相変わらずつかめないので変な感じになっています、すいません。
通販の話も面白そうだなぁ……って思ったのですが自分ネタ出していないので自重しておきます。
[0回]
PR
匠が食べる卵の数が明らかに成人男性の1日摂取するべき量を超えている、と前々から花と箕輪は思った。
本人が卵を大好物だと言うのは知っているが、気づけば卵を食べている姿を見かけ、ゴミ箱の中は卵の殻が占めている。
家では何を食べているのかを聞けば「卵」と返ってきた、もう卵だらけでゲシュタルト崩壊しそうな勢いである。
さすがに食生活のバランスとして考えればあまりにも体に悪いので花が何度もキツめに注意したが、いつもは「ご、ごめんなさいっ」と謝る匠が
「大丈夫。野菜ジュースたまに飲んでいるし体動かしているからカロリー消費している」
と、それ問題解決になってないとツッコミを入れるような返答しか返してこなかった。
そんな匠が、ある日どうやら体調を悪くしてしまったようだ。
声が枯れ、そして気だるそうに椅子に座って書類へ目を通している。
「具合が悪いんですか?」
報告書……というより、始末書を提出した箕輪が聞くと、匠はちらりと視線を上にあげた。
「朝から体が少し重い程度だ。……ケホッ」
「風邪ひいたんですか?」
「風邪?……そうなのかな。よし、卵を食べよう」
「いやいや、待ってくださいよどうしてそうなるんですか」
卵を取り出した匠を箕輪は静止する。
「知らないのか?卵は風邪をひいた時にいいと前聞いた事がある。それにいつも卵を食べて治していた」
「卵を食べて治していた、っていつも卵食べているのに風邪ひいたなら説得力がないんj「みんなみんな卵を食べると解決する!!さあ箕輪よ、卵を買ってくるんだ!!!!」
そうすれば治る!!と力説する匠を冷めた目で見つめると、密葬課が利用している病院へ予約の電話と、花へ車を準備してくれるよう連絡を入れた。
その後まだ卵について力説している匠を背負うと、はいはいと面倒そうに頷きながら車へと向かう。
「箕輪も卵を食べろ!!卵は偉大だぞ!!全ては卵から始まっていると言ってもいい!!」
「はいはいそうですねー、鷹さんこの人病院まで頼む」
「任せておきなかっ飛ばしてやるよ」
車に無理やり押し込もうとするが、匠が抵抗を見せた。
「卵を食べていたら楽になるんだ!!病院なんかいらない!!注射なんかいらない!!!!」
「はいはい、そんな事言わないで行きますよぉ〜」
「ほら車の中に卵があるよ〜、準備してあげたんだから食べてな」
いつも卵を入れているお弁当が後部座席に置かれているのを確認すると、匠は喜んで車へと乗りこんだ。
途中逃げ出さないようにチャイルドロックをかけて、万が一の為にと箕輪が隣へ座る。
そして病院へと車を飛ばした。
しかし、こういった時に物事は上手くいかないもので、なぜか渋滞している。
パトライトを使えば道を開けてもらえるのだろうが、パトライトを点灯させていた車から出てきた、嫌々抵抗しながら入る匠が病院へ入っていくのを見られるのは警察としての威厳がたたない。
「卵美味しいなぁ」
ニコニコと食べている匠とは対照的に、花と箕輪は焦っていた。
「まだ病院に着かないのかよ!?卵に気を取られてるうちに早く!!」
「想像以上に食べる速度が早い…だと…!?」
病院まであと少し、というのに渋滞が解消されない。
そしてお弁当に入っていた卵は残り1個となってしまった。
「鷹さん!!もう卵がねえ!!!!」
「あんたの弁当に玉子焼き入ってんだろ!時間稼ぎな!!」
「この間邪道だってブチ切れられたばっか!!それに弁当も一緒に持ってくるわけないだろ!!」
「卵卵卵………もう無いのか?」
眉尻を下げた匠は、そのままドアへと手をかける。
ロックを解除したのに開かないのを不思議に思ったが、窓を開けるとそこから出ようとした。
慌てて箕輪が匠を掴んで阻止する。
「離せ箕輪。卵がもうないから帰る」
「今から行く場所にはたくさん卵があるから!!それまで我慢しな!!」
「……分かった、我慢する」
渋々戻ると、すぐに窓を閉めまた勝手に開けられないようロックをかけた。
箕輪はまた携帯を取り出して嵐堂へと指示を出す。
「嵐堂、俺だ。今すぐ卵買ってきて病院に来てくれ!!」
『りょ、了解しました』
嵐堂がお使いできるか若干の不安があったが、ようやく病院へと着いた。
匠は落ち着かない様子で待合室のソファに座っていた。
右に箕輪、左に花が万が一逃げないように座っている。
「ねぇ、タカさん……もう心が折れたから帰っていい?卵出て来ないし。それにあの子泣いていたから絶対にヤバいよこの病院」
「まだ来て3分だよ!!それに子どもが泣いてたからって痛いとは限らないんだよ!!」
「嵐童!!まだか!?」
少し経ってから嵐堂がやってきた。
その手にはスーパーの袋が握られている。
「お、お待たせしました」
「よく来た!!……ってそれうずらの卵じゃねぇか!!」
「ん?……おぉ嵐堂。うずらの卵を買って来たのか?美味しいよな」
「ど、どうぞた、食べてください」
「ありがとう。いただく」
ニコニコ笑いだして食べようと手を伸ばした時だった
「真鍋匠さん、こちらへどうぞ」
「……鷹さん」
「ほら、早く行ってきな。終わったら卵食べていいから」
「…………分かった」
肩を落として診察室へ向かう匠の後姿を見て、ようやく花と箕輪は解放されたと長い溜息を吐いた。