柚の樹と螢
柚の樹と螢
pixivに載せていた嘘/喰/い同人二次創作作品置き場
不定期に増えます
よくツイッターで呟いていた妄想を書いております
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「ったく、コソコソうざってぇな夜メガネ」
自分に向けられた凶器を振り落とし、伽羅はどこから自分を見ているその男……ジョンリョに対して舌打ちをする。
いつ、どこから向けられるか分からないその攻撃は確実に伽羅を追い詰めているようにも見えるが、彼には未だに余裕がある。
「さっさと出て来いよ。それともビビって姿を見せたくないのか?」
そんな安い挑発に乗るとは思っていないが、伽羅は不敵な笑みを浮かべどこかにいるジョンリョへ話かける。反応はないが、まだどこからか自分を狙っている事は変わりない。
この場に留まっても仕方がない、と思い歩を進めた時だった。
「……レオ、と言ったな?」
伽羅の足が止まった。鋭い眼光が声のした方向へと向けられる。
「彼がもしも死ぬ事があれば、お前のその顔も歪める事ができるのか?」
今まで無かった、静かな問いかけ。そしてその内容は予想していなかったもの。
「……あいつが、何だって?」
「顔は知っている。あの日、お前とあの男が会話しているのを見ていた。お前を今まで観察してきた中で、一番穏やかな顔をしていた」
「テメェなんかに命狙われて追いかけ回されていりゃぁ、穏やかにもなれねぇな」
皮肉げに笑いながら答えれば、少し押し黙る。
「……それに、お前とあいつは何か特別なものがあるようにも思えた」
「気のせいだろ」
「気のせいか。ならば私があの男……レオを殺したとしても、お前は何も変わらないと言うのか」
「変わらねぇな。そもそも……」
蛇の下で飼いならされている獅子の姿を思い出す。
「テメェなんかに負けるほど、あいつは弱くねぇよ」
はっきりと、伽羅は言い切った。
「ずいぶんと、信頼しているようだな」
「信頼?別にしているわけじゃない。ただ、俺が気に入った男なら、そんな簡単にくたばるわけがない」
「……もしも、」
ジョンリョの言葉が途切れる。
「あ?」
「……彼の事なら心配する必要はない。契約者を殺したのはお前だけだ。」
「心配なんかするか」
「歩みを止めた。それに気が少し乱れた。お前らしくない」
「意味不明な事を言われたからな。さっきも言ったが、俺が気に入った男を簡単に殺せると思うなよ?」
そう言って笑った伽羅の顔は不敵な笑みだが、その中には別の感情も混じっているようにも見えて
「……私が狙っているのはお前だけだ。彼は眼中に入っていない」
ジョンリョは苦々しい気持ちを抱えながら、闇の中へと溶け込んだ。
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