蜂名って呼んでくれる君の声が好き
君の体温が好き
君の笑顔が好き
でも
何で今は遠くに見えるんだろ?
何で今は感じられないんだろ?
何で…
君は、泣いているの?
あれ?何か僕おかしいや
何で体がこんなに重いんだろ?
何ですっごく眠いんだろ?
何で視界がこんなにかすれているんだろ?
「蜂名……っ!!」
隣を見たら、ガクトが泣いていた
泣かないでよガクト
そう言いたかったのに、声が出ないんだ
体も動かなくて、いつもみたいにガクトに抱きつけられないんだ
「蜂名……お願いだから……」
ガクトは僕にずっと起きてて欲しいみたい
でも、だんだん眠くなってきちゃってるんだ
だけど起きてないとガクトがずっと泣いていちゃいそうだから、必死に起きようとしているんだ
「ガクト」
やっと声が出せたけど、その声は自分でもびっくりするくらいすっごく小さくて
でも、ガクトにちゃんと聞こえたみたいで嬉しかった
「蜂名……」
「泣か……ないで……」
そう言ったら、ガクトは涙を拭いて、笑顔になった
でも、すっごく泣きたそうな顔をしていて、僕は不安になった
「ゴメンな、俺が泣いてたら駄目だよな……。俺、大丈夫だから。だから……もう寝ていい。ごめんな」
「ん……ちょっとだけ、寝るね……」
「蜂名……おやすみ」
そう言って僕の頭を撫でてくれた。
ガクトの体温が、すっごく心地よくて、すっごく幸せな気持ちになった
すっごくすっごく温かくて
すっごくすっごく幸せで
「お……やす……み……」
僕は目を閉じて、静かな闇の中へ入った。
ねぇ、ガクト
僕が起きたら……
今度は、笑っていてね