柚の樹と螢
柚の樹と螢
pixivに載せていた嘘/喰/い同人二次創作作品置き場
不定期に増えます
よくツイッターで呟いていた妄想を書いております
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たんつんさんが素晴らしいイラストを私にくださった結果萌え転がり重傷を負いました名誉の負傷です本当にありがとうございます!!!!
尊いよ長撻長本当に尊いマジで尊い一緒に料理しているってただの夫婦じゃないですかヤダ―!!!!
いつもは迷いなく人の命を絶つ手が、不器用に、恐る恐ると言うような、ぎこちない動きをしている。シャリ、シャリ、とやや分厚い皮がまな板の上へと落ちる。
「……」
「大丈夫だ。ちゃんとできている。油断しなければ指を切る事はない」
「本当にか?本当に大丈夫か?」
「あぁ。問題ないよ」
あまりにも真剣にジャガイモの皮をむいている匠に、ピーラーでも用意してやれば良かったかな、と撻器は思った。
「料理を作るぞ」
「……は?」
合鍵を使って入って来た撻器の言葉に匠は怪訝そうに眉をひそめた。料理、と急に言われてもどうしてそんな事を思ったのか、そもそも今日は何も約束をしていなかったはずだ、など様々な言葉が浮かぶ。
しかし目の前にいる自由人は何を言っても無駄なのは今までの経験で分かっているので、あえて口に出す事はしなかった。
「それで、何を作ってくれるんだ?」
「ん?匠も一緒に作るんだ」
「……私も?」
「いつもホビロンばかりじゃ体に悪いだろ。少し位自炊できた方が三鷹の奴も安心する」
そう言われてしまうと言葉に詰まる。実際に撻器自身もそう言えばいう事を聞くだろう、と算段した上での発言だ。
「私は今まで料理をした事がほとんどない」
「ならちょうど良かったな。俺は料理も得意な方だから色々教えてやれる。それに」
しっかりと手を洗い終った撻器が振り返り満面の笑みを浮かべる。
「俺が教えてやるから、俺好みの味を覚えてもらえるし、匠好みの味付けも覚えられる」
「それが本来の目的か」
「匠に料理ができてほしいって言うのが本音だ。これから俺が疲れて帰って来た時に作ってほしいしな」
冗談混じりに言った撻器の言葉を匠は真顔で頷いた。
「……撻器のように綺麗にできないな」
「最初は慣れだ慣れ。何度も練習しなければ上達はしないさ」
分厚くむかれた皮と、薄くむかれた皮を捨てて、野菜を適当な大きさに切る。
「何を作るんだ?」
「肉じゃがだ。よく得意料理で聞くだろう?」
「あぁ……確かに。撻器も好きなのか?」
「まぁな。結構好んで食べている」
「高級料理しか食べていないと思っていた」
「そこまでグルメではないさ。これ、炒めてくれ」
「どのくらい炒めるんだ?」
「色が変わるまで。ただし、黒焦げではないからな」
「……難しいんだな」
肉と野菜を真剣な顔をして炒めている匠の様子が微笑ましい。慣れればこんな初々しいところは見れなくなるんだろうな、しかしこいつならずっとこんな感じで料理をするんだろうなと思いながら、撻器はだし汁の用意を始める。
「撻器」
「ん?」
「この位でいいか?」
そう言って肉と野菜を載せた小皿を眼前へと突き出す。少々肉が焦げているが、まぁ今回はよしとしよう。
「少し炒めすぎたな」
「なるほど。難しいな」
「さっきも言ったが、慣れだ慣れ。ああそうだ。味付けはこんなもんでいいか?」
小皿にだし汁を注いで渡すと、匠はそれに少しだけ口をつけて黙り込む。
「……これが撻器の好みの味か。分かった覚えておこう」
「いいのか?」
「今回は私は何もできていないからな。次会つくる時があれば、私の好みの味を覚えてもらう」「ぐはっ、それは楽しみだ」
完成した肉じゃがを中央へ置き、その他に作っていた味噌汁やおかずも並べる。
そして炊き立てご飯をよそえばとても美味そうで、いつもはホビロンしか食べていない匠の腹が少しだけ鳴る。
「「いただきます」」
両手を合わせて挨拶をして、早速一口食べれば笑顔がほころぶ。
「美味いな」
「一生懸命作ったからな。……ちょっと炒めすぎたが」
「大丈夫だ。すごく美味い」
「それは撻器の味付けが美味いからだろ?」
「それだけじゃない。匠が一緒に作ってくれて、一緒に食べているからいつもより格別に美味い」
またこうやって一緒に作って食べような、と撻器が笑えば、匠も肉じゃがへと箸を伸ばして食べる。
そして
「こんなに美味い料理が食べられるのなら、喜んで」
と、滅多に見せない笑顔を浮かべた
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