柚の樹と螢
柚の樹と螢
pixivに載せていた嘘/喰/い同人二次創作作品置き場
不定期に増えます
よくツイッターで呟いていた妄想を書いております
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全てが止まって見える世界
自分だけに与えられ、自分の思想を、使命を見い出せた世界
その使命を果たすべく1人の男を葬ろうとし……未だに殺す事ができない。
数滴の血が顎を伝い、地面に落ちて染み込んだ。
「お構いなしに出てきやがるな。夜メガネ」
「……」
常に油断の欠片もないが、ごくまれに見せる、たった一瞬の隙を狙う。
しかしその奇襲も、すぐに反応されその攻撃を阻止される。しかしその男……伽羅の頬に傷を負わす事ができた。不敵には笑っているが疲労のせいだろう、とジョンリョは闇の中で静かに考える。
疲労程度で勝算が上がるわけがない事も、逆に伽羅の感覚は研ぎ澄まされている事も彼の行動を見ていたジョンリョは理解している。ここで仕留めるよりも、確実に心身を摩耗させていった方が得策だ、と闇の奥へとその姿を消した。
(しかし……厄介な敵だ)
厄介なターゲットは今まで何人もいたが、それらと比べれば明らかに強く、異質の存在
止まった世界の中で、唯一牙を向け襲い掛かってくる獣
常に見続けていたからこそ、わずかに見せる隙を見つける事は容易になった、が、それでも仕留められない。むしろ下手に動けば簡単に喉笛を噛みつかれるような、そんな錯覚さえ起こさせる男。
(本当に厄介だ……しかし)
この高揚感は何なのだろう?
自分と同等の力を持つからこそ興味が沸いたのか、別の強さを持つ男だからこそ魅かれたのか
それがどうしてなのか、と理由は出てこない。が、ターゲット以外として彼に興味を持ってしまったのも事実。
「終わらなければいいと思うとはな」
小さな声で呟いて苦笑する。まるで彼との殺し合いを楽しみにしているかのような、そんな自分の考えがバカバカしいとも、満更でもないとも思っている。
「お前はどう思っているのだろうな、伽羅」
不敵に笑うあの男も楽しんでいるのだろうかと、そんな事を聞けば今まで見た事がない顔を見れるのではないのかと、少しばかりの楽しみが増えた気がした。
(全てが止まった世界の中で唯一見つけられた獣)
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