診断メーカーの結果による、伽羅さんにキスをねだった貘さんな伽羅貘です。
何か伽羅さんっぽくないなぁ……って思いましたが、とあるインテリヤクザの一言に色々吹っ切れました(笑)
[0回]
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今夜の賭けも貘の勝利に終わった。
決着後に色々喚き護衛と銃で脅してきた相手だったが、伽羅が動けば高級ブランドに身を包んでいた男とその護衛は、顔が変形するほど殴られゴミまみれになっていた。
「もー、こんな事があるから無駄に金持ちってめんどいよねぇ」
ゴミ捨て場に転がされている男達を見て、貘がわざとらしく溜息を吐く。
「なら面倒な相手に喧嘩を売らなければいいだろ。テメェが仕掛けるからこうなるんだ」
「そんなワガママ言ってられないよ。こっちはこっちで野望があるんだからさ」
「その野望の為には我慢することだな」
「そうだねー。何かあったら伽羅さんが守ってくれるし」
ね?俺の王子様、と冗談交じりに貘が笑う。
「バカ言うんじゃねぇよ。俺はお前の専属立会人だから守っているだけだ。そうじゃなかったらテメェが蜂の巣にされようが何だろうがどうだっていい」
「ひどっ、少しくらい夢を見せてくれたっていいじゃん」
「そんな夢見がちな男じゃないだろ、お前は」
「ははは、まぁね。……ねぇ、今夜は俺の部屋に泊まらない?」
笑顔が蠱惑混じりへと変わる。
その顔で何人もの男が落とされたのだろう、と伽羅は平静のまま思う。
「そんな顔をして俺が落とせるとでも?」
「思っていないよ。でも、好きでしょ?」
伽羅さん、この顔をしている時は少し優しいもん。
その返答をする代わりに、伽羅は貘の唇を奪った。
「ねぇ、伽羅さん」
「あ?」
「またキスしてよ」
ホテルに戻った早々貘がねだった。
蠱惑的な笑みではなく、上目使いに聞いてくるその顔は年相応の幼さがある。
「何でだよ」
「伽羅さんってあんまりキスしてくれないよね。今日のキスだってすっごく久しぶりだったよ?」
「俺とお前は恋人関係か?」
「違うね。強いて言うなら……セフレ?」
「そんな奴に何度もキスすると思うか?」
「キスってセフレだったとしてもも恋人同士だったとしても必要な事だよ?ちょっとした愛情確認みたいな感じでさ」
「バカ、俺達の間にそんな確認する意味ねぇだろ」
「え~いいじゃん。ね?しようよ、キス」
無理やりにでもすればいいのに、わざわざこうもねだってくるのは伽羅に対して愛が芽生えているからか。
伽羅はその顔をじっと見つめた後、溜息を吐いた。
「……しかたがねぇ、1回だけだ」
「え~……」
「それだけやれば充分だろ?」
「まぁ、1回でもできればね。いいよ、1回で我慢してあげる」
露骨に唇を尖らせて待っていると、くっくと低い声で伽羅が笑う。
「お前は1回で満足できる奴かよ。好きなだけしてやるよ」
「……へへ、やっぱり伽羅さん大好き」
こうしてワガママを聞いてくれるのは、それだけ自分の事を好きだと思っているのだろうな、と貘は幸せな気持ちになりながらその身をゆだねた。