柚の樹と螢
柚の樹と螢
pixivに載せていた嘘/喰/い同人二次創作作品置き場
不定期に増えます
よくツイッターで呟いていた妄想を書いております
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珍しく伽羅さんが不機嫌だ、と貘は包帯を巻いてもらいながら思った。
普段から不機嫌そうな顔をしているが、長い付き合いの中でほんの少しの変化にも気づけるようになり、機嫌取りをすることはないが気になるようにはなっていた。
「伽羅さん、珍しく荒れているね。どうしたの?」
「あぁ?」
「いや。何か怒っているっていうか……もしかして今回の勝負のせい?」
包帯を巻いてもらっている原因となった勝負を思い出す。
動揺させるためにわざと挑発を続けた結果殴られ、そこからは笑えるほど事が上手くいった。
ただ最後は逃げようとした相手を捕まえるために伽羅が動いたが、その面倒事があったせいで不機嫌になっているのかと推測した。
「まぁな」
「やっぱり。でも仕方がないじゃん。相手が逃げるなんて俺も想像していなかったし」
「あ?何でそれで俺が苛立つ必要がある?」
「違うの?でも、他に伽羅さんが不機嫌になるような事って何かあった?別に勝負自体は長引いたわけじゃないし、つまらない勝負でもなかったと思うよ?」
「……お前分からないのか?」
眉間のしわが更に深まる。
これは相当怒っているなぁ、と思いながら、原因は何だったのか考える。
やはり特に問題なかった、いつも通りの勝てる勝負だった。
「そのケガ」
「え?」
「ケガしただろ、お前」
「……あー、まぁ勝つための挑発だったから仕方がないでしょ。で、その治療が面倒だから不機嫌なわけ?」
しかしケガの治療は頼んだわけではなく、伽羅が何も言わず勝手にやってくれた事だ。
「ケガなんかしてんじゃねぇよバカ」
「え?何伽羅さん、心配してくれているの?」
「誰がテメェの心配なんかするか。わざわざ殴られるような事をしてんじゃねぇよ」
「俺だって痛いのは勘弁だよ。伽羅さんが夜に痛い事してくれるならそれは大歓迎だけど」
冗談めかしで言ってみると、伽羅の顔が真顔になる。
突然表情が変わった事に驚き、どうしたの?と笑顔で聞いてみれば
「何だ、別によかったのか」
「……え?」
「会員だから手を出さないでやっていたってのに」
「何それ、俺に欲情しているって事?」
「あぁ」
「伽羅さんらしくない冗だ」
言いかけた途中で、伽羅の顔があまりにも近い事に気づいた。
ピリリと痛みが走り、口の端を舐められたのか、と笑顔が固まる。
「これからは俺以外の人間に手ぇ出されるような真似すんじゃねぇぞ?」
「……伽羅さんが専属立会人でいるうちはね。嫉妬で相手を殺されちゃったら困っちゃう」
「はっ。そんな事まではしねぇよ自惚れるな」
鼻で笑うと、車に乗るよう促される。
まだガキ扱いされているけどいつか骨抜きにしてやる、と前を歩き出した伽羅の背中に抱きついた。
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