巳弥風かな?見方によっては弥巳風かもしれません短編集
このままヤンデレ弥鱈に迫られ続ければ巳虎終了のお知らせが流れそうで私は怖いです(他人事
[1回]
心を食らう
「巳虎さん。心って心臓にあるんですよね?」
「……急にどうした?」
読書をしていた弥鱈が心臓を指差して問いかけてきたことに、巳虎はまた変な事を言い出してきた、と思う。
弥付き合い始めてから、変な事ばかり聞いてくるようになっているので最近は慣れつつあった。
「もしも心が心臓にあると言ったら、私と巳虎さんの心臓半分にしてそれを繋ぎ合わせればそれって心の共有になりませんか?そうすればお互いの思っている事をお互いに分かりますから便利だと思うんですよ。そしたら喧嘩する事も悲しむ事もなくなるんですよ?これって名案だと思いませんか?」
「名案も何も……心に心臓があるって考え方はまぁよくあるけど、俺自身は違うと思っているぞ?」
「……あ、そうですね。人工心臓とか他人の心臓を移植とかの方法があると思うと、心は心臓にないって事ですか?そしたら脳ですか?脳を半分に切ってつなぎ合わせれば今度こそ共有する事できるって事ですよね?そんなわけで巳虎さん、私と脳を半分交換しませんか?」
真顔で淡々と、冗談じゃなさそうな口調で言ってくる弥鱈に巳虎は返事を考える。
心の共有をしたいと言うが、そんな非科学的な事をしたら死ぬだけだ。
「……血液型違うし大きさも違うし、拒絶反応起こしてダメだろ?」
「大丈夫ですよ。私は巳虎さんの脳でも心臓でも内臓でも手足を移植したとしたら、絶対に拒絶しない自信ありますから」
「俺が死ぬっての」
「あぁ、それは困りますね。ならこの案は止めましょう」
そしてまた読書に戻った弥鱈を見て今回は早めに終わったな、と巳虎も雑誌に視線を戻した。
共有と言っているが、弥鱈は巳虎が自分以外の事を想っているとでも思っているのだろうか。
(結構愛しているってのに、何が足りないっつーんだかなぁ……)
とりあえず今度どっか一緒に出掛けて思い出を作れば足りない物が埋まっていくか?と雑誌に載っていた観光スポットを見ながら巳虎は思った。
束縛系恋人(巳虎視点)
プライベート、と言っても遊び用の携帯をテーブルの上に放置して風呂に入った。
上がった頃には携帯はテーブルの上にそのままで、悠助が暇そうに唾で使ったシャボン玉を飛ばしながら本棚から読む本を選んでいた。
「お前、シャボン玉飛ばすなって言っただろ」
「癖なんですよ」
「ったく……あ、そうだ」
何か受信をしていたんだ。
チェックしないと、と思って見たら待ち受け画面が初期画像。
首をかしげてメールフォルダを見たら悠助とだけのメールしか残っていない。
もしやと思ってアドレス張とデータフォルダも見たら、悠助とのだけしか残っていなかった。
「悠助」
「仕事用ではしかたがありませんが、その他のものでは巳虎さんは私とだけのやりとりで十分です」
むくれた感じで言った悠助が何かすっごくかわいいく見えた。
SDがあるからバックアップは何とかなるけど、メールはどうしようかな……。
(でも良かった。この様子だと、まだこの携帯で連絡しているの知り合いは生きているから)
(とりあえず、今は)
知らず知らずに笑みが出る(弥鱈視点)
巳虎さんを生前の状態のまま保存するのにはどうしたらいいんですかね?
刺殺は巳虎さんの体に傷つけるから嫌ですし絞殺は顔の色が変わるからこれも却下。
やっぱり毒殺ですかね?でも毒殺なんてしたらもがき苦しむでしょうから却下。
う~ん……中々難しい……
あぁそういえば何かの本に一番美しい死体は凍死って書いてあったような……よし巳虎さんを氷漬けにすればいいだけですね。
そうしたら絶対にキレイな死体ですし外傷はない、こんなにも簡単に思いつくとは。
そしたら巳虎さんの凍死の傍に私も立ってどちらも生前と変わらないままの死体のの完成ですね
ヤバイ想像しただけで凄く笑顔になりますね、早く2人分入る余裕がある冷凍庫を買って巳虎さんを中に入れなければ。
「悠助、そんなに笑って何かいい事があったのか?」
「これからいい事になると思ってつい笑顔が出てしまっているだけです」
「?いいことになるんだったら良かったな」
あぁ何も知らずに笑っている巳虎さんがかわいいかわいすぎる!!
今すぐ氷漬けにできたらどれだけ幸せな事だか!!
(巳虎に教えたら喜んでくれるかなぁ?)
練習台(弥鱈視点)
剥製を作った。
防腐処理など色々面倒な事が多かったけど、まぁ初心者なりには上手くいった方でしょうか?
あぁでも色々器材集めんの大変でしたね。
こんな時に色々と手が回せる賭郎とは便利なものです。
それと骨格を作るのも大変でしたね。
針金で形整えるのですがなかなか思うようにできませんから何度も諦めそうになりました。
けれど何とか作って入れてみたら結構いい感じになりましたし、結果的には良かったですね。
「最後に」
中身が無い眼窩にガラス玉を入れてやれば、完成。
「練習台になってくださってありがとうございます」
まだまだ不慣れで反省点が多いですから、もっと《練習》をしなければいけませんね。
完璧になってきたらやっと《本番》です
巳虎さんの時はきちんと眼球や内臓全てをホルマリン漬けにして永久に腐らないようにしますから。
そしてずっと私が傍で愛し続けますからご安心を
(巳虎さんが私だけの人形になるまでに死なないでくださいよ?)
歪んだ愛情(弥鱈視点)
「……お前の料理、酸っぱくないか?」
「すみません、初めて作ったものですから……」
「酢でも入れ過ぎたのかよ」
そう笑って食べてくれる巳虎さん。
それでも食べているって事は、美味しいからでしょう?
「ねぇ、巳虎さん」
「ん?」
「嬉しいですか?」
「もちろん。悠助がまさか料理作ってくれるとは思ってなかったからな」
巳虎さんは私が料理を作って嬉しい?って言われているのと勘違いしているのでしょうね。
もちろんと言ってくださってとても嬉しいです、ありがとうございます。
でも、違うんですよ巳虎さん。
大変でしたよ、巳虎さんをたぶらかそうとする女を解体するのは。
アドレスから身元を全て割り出して会いに行ったのですから。
殴って刺してバラバラにして肉は残して皮は剥製の練習台に使ってその他は全部砕いてすり潰してトイレに流して消臭して何もかも元通りにするのには骨が折れました。
まぁ完璧に証拠を消せたので良しとしましょう。
本当ならあんな女の肉なんて巳虎さんに食べさせたくなかったのですが、私の剥製の練習台になったお礼として大好きな巳虎さんの一部になってすぐに捨てられる栄養源になってもらいました。
ねぇ、巳虎さん
皆の願いを叶える私はいい恋人だと思いませんか?
(褒めて褒めて、わたしを褒めて!!)