柚の樹と螢
柚の樹と螢
pixivに載せていた嘘/喰/い同人二次創作作品置き場
不定期に増えます
よくツイッターで呟いていた妄想を書いております
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「あんな間違いしなけりゃこんな事にならなかったのに……」
うんざりした顔で巳虎は弥鱈の家へ向かっていた。
明日提出する書類に不備があった事を思い出したのは今日の事。
明日休みになっていた巳虎は、同じ書類を作っていた弥鱈に一緒に提出するように頼んでいたので書類を取りに今日が休みである弥鱈の家に向かっていた。
教わった通りの道を進んでいくと、マンションに着いた。
セキュリティが高い場所に住んでいるのかと思ったが、何の変哲もないマンションだ。
弥鱈の名前が記載されているドアの前に立ち、インターフォンを鳴らすと、事前に連絡は入れているのですぐに弥鱈が出てきた。
いつもスーツを着ている姿しか見ていないので、部屋着の弥鱈を見るのは新鮮だった。
「わざわざすいません」
「俺のミスだから気にするな。で、書類はどこだ?」
「今持ってきますので、中で待っていてください」
部屋に招かれて巳虎はどうしようか迷う。
このまま貰ってすぐに帰りたいが、弥鱈の私生活は興味がある。
持ってくると言っても数分で終わる事なので、巳虎はお邪魔することにした。
目の前の光景を見て、巳虎は言葉を失っていた。
弥鱈が何を飲みますか?と聞いてきたので巳虎は思わず弥鱈の両肩を掴んだ。
「お前、何で家の中がこんな風になるんだよ!?」
「さぁ」
「お前がやったんだろうが!!他に住人がいるのか!?」
「いませんね」
「何でこんな散らかせるんだ……」
巳虎の嘆くような声を聞きながら弥鱈は自室の状況を見る。
散乱している請求書などが入っていた封筒や洋服類、本やペットボトル等をみて確かに散らかっているなぁ、とぼんやり思う。
キッチンもいつもまとめて洗っているのでシンクには食器が溜まったままだ。
「よし、掃除するぞ」
「あぁ、後でやりますよ」
「後でじゃねぇよ!!今やれよ!!こんな部屋じゃ探すのに時間かかるだろ!!俺がもらう予定の書類はどこだよ!?」
「それならこちらに」
仕事部屋を見て、巳虎は頭を抱えた。
「何でここは整理整頓されてんのにリビングはなってねぇんだよ……」
「仕事とプライベートは分けているので」
「分け方が下手くそすぎるわ!!この部屋並にしてみろよ!!」
「いいんですよ。あれはあれで置いてある場所は分かるんで」
「そう言う問題じゃねぇだろ……」
反省する気がない弥鱈に諦めたのか、巳虎は仕事部屋に置いてあったゴミ袋を1つ手に取る。
「あ、それここ用なので」
「知るか!!」
仕事部屋から出ると、物が散乱しているリビングへ戻ったらしい巳虎がゴミ袋の中にゴミを入れている音と
「何でシャツがこんなにあるんだよ!?」
「靴下……片割れどこだ!?」
「同じ本多過ぎだろ!!」
と、驚きと嘆き声が聞こえる。
リビングに戻り、弥鱈も手伝おうかと言うが
「お前はだめだ、絶対に片付かない」
「しかし私がどこに何があるのか分からなくなるので」
「今でも十分わかんねぇよ!!」
と、仕方が無く巳虎が掃除している所を眺めることにした。
時折捨てていいのかどうか聞かれ、なぜそんなものをとっておいたのか自分でも分からない物が多かったので殆ど捨てる結果となった。
巳虎の努力の結果、見間違えるほどリビングがキレイになった。
2人の足元にはゴミ袋とペットボトル、シャツなどの洋服類がまとまって置いてある。
「シャツが何でこんな所にあるんだよ」
「寝室が仕事部屋代わりでもあるので散らかしたくないんですよ」
「洗濯器がある脱衣所で脱げばいいだろ」
「疲れている日はとりあえず脱いで寝て、朝になってからシャワー浴びるのでうっかり忘れるんです」
「……だからシャツがこんなにあるのか」
山のようにあるシャツを弥鱈に押し付け、ペットボトルを洗う為にキッチンへ入る。
そして
「だから、何でこう放置してんだよ!!」
と巳虎の怒鳴り声が聞こえた。
キッチンも巳虎の努力の結果見間違えるように綺麗になった。
ついでに冷蔵庫の中も見て
「賞味期限が切れてんのを何で放置してんだよ!!」
「あ~……自炊は一応できるのですが最近やっていませんでしたね」
「冷蔵庫の中くらい整理しておけよ、腐ってからだと悲惨になるってのに……」
と、ブツクサ言いながらすぐに整理された。
まだ何とか食べられる食材に関しては巳虎が料理を作って消費してくれることにより、無駄に捨てることが無かったのが幸いである。
「巳虎さんは家事が得意なんですね」
「は?このくらい当たり前だろ」
「掃除とかはそうかもしれませんけど、料理もお上手だったので。意外です」
「んなのじいちゃんの為に決まってんだろ」
「能輪立会人の?」
「じいちゃんの介護は黒服に任せんじゃなくて、俺がやるって決めてんだ。だから家事は全部できるようにしてあるし、資格も持っている」
「本当に祖父想いなんですね。能輪立会人が羨ましいです」
「じいちゃんは頭いいしかっこいいからな」
「そう言う意味で言ったわけでは……」
食べ終わった後の片づけは自分が、と言ったが巳虎がやると言ったのでその背中を眺める。
「巳虎さん」
「何だ?」
「巳虎さんがいれば、私ももう少し家事を頑張れそうな気がするのですが」
「何言ってんだよ、俺はじいちゃん以外の世話をする気はねぇよ」
「……はぁぁぁ」
「?何ため息吐いているんだ?」
「巳虎さんが分からず屋なので」
言っている意味が分からないと首をかしげる巳虎に対して
「これを日常にするには時間がかかりそうですね」
と弥鱈はシャボン玉を飛ばした。
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