柚の樹と螢
柚の樹と螢
pixivに載せていた嘘/喰/い同人二次創作作品置き場
不定期に増えます
よくツイッターで呟いていた妄想を書いております
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『すまん、巳虎、すまない……』
自身が尊敬する祖父が自分に謝罪するのは、これが最初で最後だろう
自分に繋がれたチューブ、激痛、薬、血、血、血
何をされていたのかは覚えていない
ただ、抱きしめてくれている祖父が、とても優しかった、と思った。
ゴリッ、と骨を削る音と激痛に、巳虎は目を覚ました。
起きてみれば予想通り、右腕が血だらけになっている。
そして腕に噛みついている弥鱈の姿を確認し、振り払った。
血しぶきが壁と天井に付着し、また張替か業者呼ぶことになるのか……とため息を吐いた。
そしてその原因となった男を睨みつける。
「……悠助」
「あぁ、起きましたか。おはようございます」
「おはようじゃねぇよ。何だよこれ、許可していない時に食うなって言っただろ」
「お腹が減ったものでしてつい」
「ついじゃねぇよ。まぁ内臓食われるよりはましか……」
諦めたように呟くと、右腕の付け根を圧迫して出血をおさえる。
電気コードでもいいから巻きつけておこうか、と思ったが救急箱に三角巾を入れてあったのを思い出し
「救急箱の中に三角巾があったからそれ持ってこい」
「別に止血しなくてもいいじゃないですか。私が全部舐めとりますよ」
「ふざけんな変態。仕事に行けないだろうが」
「しかたがないですねぇ~……」
「そもそも、お前普通の飯食えばいいだけだろ!!俺の腕食うんじゃねぇよ!!」
「巳虎さんって美味しいんですよ」
しぶしぶ動き出した弥鱈を待ちながら、右腕の損傷を見る。
相当腹が減っていたのか、前腕はところどころ骨が見えており、上腕も複数の噛み跡が残っている。
再生するまで何日かかると思っているんだ、と再度ため息が出る。
「これですか?」
「おう。巻いてくれ。やり方は……」
祖父に教えてもらった止血法を口頭で伝えると、弥鱈は器用に巻いた。
それでも血は出ているが、これ以上無駄に出血させるよりはましだった。
「巳虎さんの内臓食べたいんですけど」
「腕食ったんだから我慢しろバカ。しかも内臓は食わせないって言っただろうが」
「巳虎さんの内臓すごく美味しいんですよ?今度調理しましょうか?」
「この世のどこに自分の内臓食べて喜ぶバカがいるんだよ……」
「巳虎さんくらいしかできないじゃないですか」
「うるせぇよ」
そう言って自分は焼き魚と味噌汁と漬物とごはんを朝食として食べる。
弥鱈も同じものを食べているが、その量は巳虎の半分以下だった。
身支度も整えると、ベランダで唾を飛ばしている弥鱈に声をかけた。
「行くぞ」
「腕は?」
「ほぼ再生している。包帯でも巻いとけば大丈夫だろ」
骨が見えていた前腕は血が止まっており、上腕にあった傷は完全に消えていた。
「不死身とは言っても、再生に時間がかかるんですね」
「お前が骨見えるくらいまで食ったせいだろうが!!」
家を出れば黒服達がすでに待機しており、2人は軽く挨拶をして後部座席に乗り込む。
発車してからは小声で会話を始めた。
「この前の死体を処分した、って事は……食ったのか?」
「えぇ。ごちそうにありつけましたよ。やはり肥満体よりは筋肉質の方が美味しいです」
「……そうかよ」
「巳虎さん妬いてるんですか?」
「んなわけねぇだろ!!」
「安心してください、今まで誰よりも巳虎さんが美味しいですよ。断言できます」
「……喜べねぇっての」
窓の方へそっぽ向いてしまった巳虎を見て、どういえば喜んでもらえるのか弥鱈は考えた。
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