柚の樹と螢
柚の樹と螢
pixivに載せていた嘘/喰/い同人二次創作作品置き場
不定期に増えます
よくツイッターで呟いていた妄想を書いております
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自分よりも体温が高い手が頬を撫でる。
その輪郭を確かめるように何度も頬を撫でるその手は不快ではない。
ただ急にどうしたのだろう、と匠が手の主、撻器を見れば口元に少しだけ笑みを浮かべていた。
「匠は人形みたいだな」
「そうか」
「あぁ」
いつものように特に意味が無い短いやり取り。
人形みたいだ、と言ったのはただされるがままの様子を見て言ったのか、それとも表情を動かしていないせいなのか、もしかしたら両方なのだろうか、と匠は撻器の笑みを眺めたまま考える。
「お前がいつか糸が切れたかのように動かなくなってしまうんじゃないのか、って心配しているんだぞ?」
「操り人形な訳がないだろう」
「しかし仕事ぶりは操り人形そのものだ。もっと自由にできる事をお前は知っているだろう」
密葬課
そこでの仕事は本当に必要があのか疑いたくなることも確かにある。
自分が私利私欲に使われている事も知っている。
しかし秩序を保つためには仕方がない、たとえそれがどんな非業な事であろうとも。
「こちらに来い、お前を自由にしてやれるぞ?」
「前に断ったはずだ」
「操られていて窮屈な場所から解放してやると言っているのに?」
「飼い殺しにするくせに何を言う」
「ぐはぁ!!飼い殺しとはよく言ったもんだ。ここの奴等は抜け出す気にならないだけだ」
「抜け出せば殺すくせに。お気に入りのお人形を閉じ込めて満足か?」
「おいおい、一緒にするな」
「先に言ってきたのはお前の方だ」
「可愛くない奴だなぁ」
「元からだ。いい加減離せ」
「んー、もうちょっと。匠の肌は陶器のようだ」
まだ堪能しているその様子が煩わしくなったのか、手を振り払った。
「そんな言葉は女にでも言ってやれ」
「ぐはっ、今どきの女ではさっきの言葉はあまり喜ばないだろうな。送っていくか?」
「そのまま賭郎に連れ込まれたら面倒だから遠慮する」
「バレたか。いつでもこちら側になるのを待っていてやるから、来いよ?」
「着せ替えごっこでもしたいのなら他をあたれ」
「……人形みたいと言ったのを根に持っているのか?」
「さぁな」
感情が無い操り人形がわざわざお前の所に来るわけがないだろう、と一言残し、匠は部屋を出て行った。
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