柚の樹と螢
柚の樹と螢
pixivに載せていた嘘/喰/い同人二次創作作品置き場
不定期に増えます
よくツイッターで呟いていた妄想を書いております
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以前から出会っていたと捏造有の長撻長です、匠さん視点で互いの名前は出てきません。
もうちょっと続くかもしれませんがどうなるかは未定、カクテルって調べるの面白いですね、色も綺麗だし
糖度はほぼありません、さらっとした関係も僕は好きですよ
もうちょっと続くかもしれませんがどうなるかは未定、カクテルって調べるの面白いですね、色も綺麗だし
糖度はほぼありません、さらっとした関係も僕は好きですよ
以前から気になる男がいる。
「あちらのお客様からです」
そんな言葉と共にバーテンダーから差し出されたカクテルを手に取る。
琥珀色のそれは甘い香りで鼻をくすぐり、一口飲んでみれば案外さっぱりとした味わいだ。
「これは?」
「アプリコットフィズです」
「……面倒な男だな」
小さく呟いた言葉はバーテンダーには聞こえなかったようだ。
グラスを持ちカウンターの端席に座っている男の元へ向かう。
1人グラスを傾けていた男は俺が来たのを見ると満面の笑みを浮かべた。
「一緒に飲まないか?」
「そのためにこの酒をわざわざ私に出したのだろう?」
名前を知らないこの男は、よく私へ酒を出す。
初めて会った時、その時はスクリュードライバーだったか。
出された意味が分からず、受け取るのを拒否したら、男の方からやってきた。
薄暗い店内で分かりにくいが、長い髪を器用にまとめてあり、左耳には逆さ十字架のピアスをつけているその男は相当鍛えられているであろう、体躯はがっしりとしているものだ。
断りもなしに私の隣に座ると、下げられそうになったスクリュードライバーを私の前に差し出してきた。
「一口でも飲んだらどうなんだ?」
「知らない奴から出されたのを飲む気がしれん」
「ぐはっ、お堅い奴だな」
飲んでくれよ、と言われ仕方なしに飲んだ。
飲み口は良かったが、度数の高い酒のせいか酔いが回って次の日は頭痛に悩まされた。
そして鷹さんにその事を話したら
「もう二度と受け取るんじゃないよ!!」
といつも以上の剣幕で言っていた。
何故そこまで怒るのか、と何の気なしに調べてみたらどうやらカクテルにも花言葉のように意味があるそうだ。
「くだらない」
相手は男だ、そんな気にする必要もないだろうし、それにまた会うとも限らない。
そう思っていたらまた出会ってしまった。
次に出されたのはカシス・ソーダ
また何かしら意味があるのか、それともただいたずらに出すのが好きなのか。
「受け取ってくれないのか?」
また男がやってきて遠慮なしに私の隣へと座る。
まだ2回しか会ったことがないが、おそらくこの男は素直に人の話を聞く奴ではないのだろう。
「今度はどんな意味だ?」
「調べてくれたのか」
「たまたまだ。ふざけた意味だったら殴るぞ」
「あなたは魅力的」
頬杖をついて私を見つめて答える。
「……私は男だが?」
「分かっている」
「お前の性癖を否定するわけではないが、男色の気はない」
「何を言っているんだ。俺がいつゲイだと言った?」
「前回といい今回といい、自分で言っているようなものだろう」
「そんな警戒するな。俺には息子がいるんだぞ?」
「……そうか」
ならば悪戯のようなものだろう、と思いそいつの方へ押し付ける。
「ん?」
「お前が飲め」
「……いいのか?」
「…………何で目を輝かせるんだ?」
意味が分からない。
「お前から見た俺も魅力的、ととらえていいんだろ?」
「冗談じゃない。お前が勝手に頼んだものを返しただけだ」
「つれない奴だ」
「お前が馴れ馴れしいだけだ」
「いいじゃないか、1人寂しく飲むよりはこうして話していた方が」
そう言ってグラスを傾けた男は、甘い酒だなと笑った。
「そして今もこうして飲んでいる、と思うと不思議な関係だ」
「ぐはっ、それだけ相性が合ったんだろう?」
「そうかもな」
正直すぐに飽きてくれるかと思ったが、私が来るたびにこの男はカウンターの端席で飲んでいた。
毎日いるのか、と聞いてみれば違うとは答えが返ってきた。
「今度はお前にどんなカクテルを出してやろうかな」
「わざわざ考えるな。飲みたいものを飲ませろ」
「お前酒弱いもんなぁ」
口当たりのいいやつ考えてやるよ、と笑いながらそいつはグラスを傾ける。
今度はどんなくだらない意味を出してくるのだろうか、とそんな事を思いながらバーテンダーを呼び寄せる。
「この客にカルアミルクを」
もっと情熱的な言葉にしてくれよ、と文句を言ってくる男に
「お前にぴったりな酒だよ」
と初めて笑ってやった。
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