柚の樹と螢
柚の樹と螢
pixivに載せていた嘘/喰/い同人二次創作作品置き場
不定期に増えます
よくツイッターで呟いていた妄想を書いております
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見にくい縫合痕が残る手と首筋
匠はそれらを不満げに見つめていた。
「どうした?」
「それはいつ消えるんだ?」
「それ?……あぁ、一生消えないかもな」
こうして動かせるようになったのも、そして生きているのも奇跡だと撻器は不器用に指を動かした。
「一生?どうしてもか?」
「酷い傷だからなぁ、抜糸できたとしても残るだろう」
「最新医療を受けられるのだろう?何とか消せ」
「珍しいな。お前がそこまで嫉妬するなんて」
「目の前でやりあっているのを見ていたんだ」
それもとても楽しそうに
匠は傷口をなぞり、爪を立てようとする。
痛いのは勘弁だ、とすぐに撻器は手を引っ込めた。
「爪を立てたくらい何ともないだろ」
「痛いものは痛い」
「あいつの傷はよくて私の傷はだめか」
「そう言っているわけじゃない」
「一生残るものがあのジジイの傷跡なんてズルい。私だってお前に一生残せるものを与えたい」
「それだったら大丈夫だろう」
そう言って匠の体を抱きしめる。
「お前自身がいる」
「……一生いる保証はあるのか?」
「それは匠も協力してくれないとなぁ」
「撻器の頑張り次第だ」
背中に回されたその手は、逃がさないようにと握りしめた。
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