柚の樹と螢
柚の樹と螢
pixivに載せていた嘘/喰/い同人二次創作作品置き場
不定期に増えます
よくツイッターで呟いていた妄想を書いております
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「お前ってさ、このままでいるのかよ」
「このままとは?」
「お前の父親の為に這いつくばる姿を見つけてやる……だっけ?」
「あぁ」
覇気のない顔は納得したかのように、少しだけ頷いた。
「ずっとですよ」
「ずっとって何だよずっとって」
「言葉のままですよ。まだまだ見なければいけない姿はありますから」
「お前自身の欲求でもあるんだからそうなるか」
「失礼ですね、私は父の為にやっているのですよ」
「あーはいはいそうだな」
歪んでいる理由であっても、父親の為にそんな事をするなんてこいつにも血が通っているのかなんて失礼な事を思っていると、弥鱈が巳虎へ視線を少しだけ向けた。
「何だよ」
「そう言っている巳虎さんはどうなんですか?能輪立会人の為にいつまで動くつもりですか?」
「あぁ!?じいちゃんの為に動いて何が悪いんだよ?」
「悪いなんて言っていませんよ。ただいいのですか?自分のやりたい事よりも祖父を優先して」
「俺のやりたい事はじいちゃんの為になる事だ。問題なんてねぇよ」
「そうですか」
「だいたい、お前に心配されるまでもねぇっての」
「それは私もそうなんですけど」
「誰がお前の心配なんてしたかよ」
「先程聞いたじゃないですか。このままでいるのかよって」
「そんなの心配したうちにはいらねぇよ」
「そうですか」
沈黙 いつもの事 苦痛じゃない時間
自分のプライドを徹底的にへし折ったようなこの男と一緒にいてなぜ苦痛じゃないのだろうか、とふと浮かぶ疑問
「巳虎さん」
その答えを出そうとしていたのに遮られる。
やはりこの男は苦手だな、と思いつつ何だ、と返す。
「もしも父の為の行為が終わったとします」
「……終わりが見えているのか?」
「いいえ全く。しかし仮定の話です」
「何だよ急に……それで、終わったとして、何だ?まさか死ぬなんて言わねぇよな?」
「死にませんよ。もしも終わったとしたら、次は巳虎さんの為に生きようと思います」
「…………は?」
「きっと私が終わった頃には、巳虎さんも能輪立会人の為に生きるのを辞めている頃だと思いますので」
「あぁ!?俺がじいちゃんの為に動くのは一生に決まっているだろうが!!」
「いえ、能輪立会人も高齢ですから。いつかお別れがあるのも分かっているでしょう?」
「……」
言い返せないのは、巳虎自身もどこかでその考えがあるからだろうか。
「その時に巳虎さんは何の為に生きるつもりですか?」
「……賭郎の為に決まっているだろう。じいちゃんに泥を塗らないようにする」
「でもそれって明確ではないでしょう?能輪立会人が退いた後の巳虎さんはきっと喪失感で面白い事になっているでしょうね」
「やっぱりそう言う風にしか見れないのかよ」
「そんな巳虎さんのサポートをしてあげますよ」
「冗談じゃない。誰がお前に頼むか」
「冗談じゃありませんよ。私は巳虎さんの事結構好きですから」
「……気持ち悪い事言ってんじゃねぇよ」
巳虎が顔をしかめると弥鱈は本気なんですけどね、と小さく呟く。
「能輪立会人、そろそろお時間です」
「おう」
「巳虎さん」
「何だよ」
「少しは考えてくださいね、さっきの事」
「……答えなんて決まっているだろバーカ。わざわざ引き留めんな」
そう言って巳虎は黒服と共に出て行く。
「……あぁくそ」
暖房が効きすぎなんだ、あの部屋は
お陰で顔が赤くなったじゃねぇかチクショウ
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