柚の樹と螢
柚の樹と螢
pixivに載せていた嘘/喰/い同人二次創作作品置き場
不定期に増えます
よくツイッターで呟いていた妄想を書いております
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ゲームやアニメを見ている人間の犯罪率が高い、とよくテレビで言っているが、どうなのだろうかと弥鱈はぼんやりと考えながら、目の前で土下座している男を見ている。
先程までふんぞり返って座っていた姿はどこへやら、今は死にたくないと懇願するか弱い人間そのものだ。
「土下座はいらないのですが」
「た、頼む!!頼むから……!!」
「はぁぁ……期日を過ぎているからこのように来ただけですよ。期日前に何かできたのでは?」
「お願いします!!何でもしますので!!!!」
「何でも……ですか」
わずかに顔を上げた男の目には、かすかな希望が浮かび上がる。
弥鱈は小さく口角を上げると
「では、取り立ての為に粛清されてください」
絶望に変わった男の顔を目に焼き付けるようにしっかりと見つめながら、その足を男の顔面へ蹴りつけた。
朝帰りになってしまった、と自宅に戻るとスーツを脱ぎ、軽くシャワーを浴びる。
寝てしまおうかと少し悩むが、冷蔵庫に依然押し付けられた缶ビールの存在を思い出すとキッチンへと向かい1本取り出す。
寝室に戻り卓上にあるパソコンを起動させると眼鏡をかけ、缶ビールのプルタブを開けた。
「さて、誰か起きていればいいんですけどね」
頭上に【ダミアン】と出ているキャラクターを動かせば、猫背な背中を更に丸めて画面の世界へと集中し始めた。
「寝ないでこっち来たって、そんなにそのゲーム……プロトポロスだっけ?面白いのかよ」
「えぇ。巳虎さんもやってみますか?」
「遠慮しとく。どうせお前の事だから色々やる時にパシりたいだけだろ。深夜に起こされてやるのも勘弁」
休憩室で目の下にクマを浮かべている弥鱈を巳虎は見て答える。
弥鱈がゲーマーだったことに驚いたが、言われてみれば背中を丸めながらプレイしている姿が容易に浮かんでしまうのだから不思議だ。
「そんな事しませんよ。初心者なんて連れ回しても邪魔なだけですし」
「言うと思ったよ!!」
「まぁ、無理強いはしませんが。自由度は高いですし面白いゲームなのでおススメはしますよ」
「お前がそこまで言うなんてなぁ……」
「興味持ちました?」
「少しはな」
「他には何やっているんだ?」
「……意外ですね。あまりゲームに興味もっていなさそうなのに」
「お前がのめり込むものがあるのが意外だったからだよ」
「そうですか」
適当に巳虎が好みそうなタイトルを教えると、巳虎はへぇ、とだけ返す。
巳虎がハマれば課金してすぐに使えるプレイヤーになるだろうな、とこっそりハマる事を期待した。
立会中は暇そのもので、もうすぐやるであろうイベントについて思いを馳せる。
上位には特別なアイテムが報酬として出されると書いてあったが、あまり興味がわかないものだったので今回はサポートに徹するか、と考えているうちに決着がついたようだ。
黒服達に指示を出し、負けて呆然としている対戦者の顔を見れたのは愉快だ。
「では、後は任せますよ」
「お疲れ様です弥鱈立会人」
車に乗り電源を切っていたスマホを起動させると、何件かの着信。
巳虎からだ
「はい」
『おい!!お前に教えてもらったゲームだけどよ、何か最初の方の……』
どうやらゲームについての話のようだ。
ようこそこちらの世界へ、と口元を歪める。
「すみませんが今立会が終わったばかりなので、もう少ししたらかけ直しますね」
今夜も徹夜する必要があるだろうな、と欠伸をかみ殺した。
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