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柚の樹と螢

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pixivに載せていた嘘/喰/い同人二次創作作品置き場 不定期に増えます よくツイッターで呟いていた妄想を書いております
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蒼屋さんのお誕生日おめでとうございます!!



LINEで楽しくお話しさせていただいたお屋形様の朝と丈一さん判事の攻防戦みたいな話です。ちょこっとだけ撻器さんも出ています。



ガクトの家に転がり込むまでの続き書けたら書きたいなぁ、と思っていますがどうなるのかはちょっと未定です←



 


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春眠暁を覚えず



 



 



その言葉通り、切間創一は朝になったというのに心地よい眠りについていた。



全力で叩かれた目覚まし時計は原型を留めておらず、彼の眠りを覚ますものは何もない……かに思えた。



 



誰かの足音が聞こえてきたかと思うと、その足音は部屋の前で止まり、控えめなノックをした。



それでも創一が起きる様子はない、寝返りをうつと、そのまま布団の中へと潜り込む。



何度かノックされたが、それでも起きないせいか、そっとドアが開かれた。



ティーセットを載せたワゴンを押して、丈一が部屋の中へと入ってくる。



 



「お屋形様、朝ですよ」



 



ベッドの傍にワゴンを停め、丈一はカーテンを開ける。



温かく、しかし眩しい朝の陽ざしは春の訪れを感じさせる。



が、布団の中に潜っている創一に効果は無い。



布団をはぎ取ろうか、と考えたがそれは失礼な事かと思い、布団越しに創一を揺らす。



 



「お屋形様」



 



起きる様子は全くない。



ぬっ、と手が出てきたかと思うと、丈一の手を振り払い、また布団の中へと戻っていった。



 



「……困ったな」



 



できれば好きなだけ眠らせてあげたい、と思う気持ちはあるが今日はとある会社との取引がある、何としてでも起こさなければいけない。



 



「お屋形さ…… 「……何をしているのですか?夜行掃除人」



 



背後のドアが開いたかと思うと冷たい声が投げられてきた。



振り返れば、無表情の判事、棟耶が立っていた。



丈一と同じように、ティーセットを載せたワゴンを押してきている。



 



「棟耶」



「今日のお屋形様付き人は私です。余計な事はしなくて結構ですから戻ってください」



「……その割には、行動が遅すぎるんじゃないのか?何故俺よりも先に準備ができていない?」



 



と問いかけた丈一の言葉が不快に感じたのか、棟耶の眉はわずかに動いた。



 



「全く、お前はまだお屋形様の身の回りを世話する自覚がないんじゃないのか?そんな奴に世話を任せるわけにはいかないな」



「お屋形様にご迷惑をかけるような蛮行は決してしませんのでご安心を。それに、自身の付き人の日付が分からないのか、勝手な事をする方こそお屋形様のお世話をさせるのが心配ですね」



 



2人は静かに言い合い、そして睨み合う。



 



「……とにかく、ここから出て行ってください。後の事は私がやりますので」



「いや、引き継ぐ必要性はどこにもない。俺がやるからさっさと消えろ」



「それはこちらのセリフです。早くどいてください」



「誰が貴様の言う事を聞くとでも?」



 



空気が張りつめていく。



普通ならお屋形様が寝ている傍で殺気を出しあうお前等出て行けよ、とツッコミが入りそうだが、そんなツッコミができる人物はこの場にいない。



指をゴキリ、と鳴らし、互いに臨戦態勢に入る。



そして動き出す、そんな緊張感が最高潮に達した時



 



「ぐはぁ!!創一は起きているか~?」



 



ノックもしないで勢いよくドアを開けた人物、撻器の登場に2人は驚き固まる。



 



「ん?お前達何してるんだ?」



「え?いや、その……お屋形様を起こそうかとしていました」



「右に同じです」



「ぐはっ、起こすのに2人もいらないだろ?」



 



変な奴らだ、と撻器はくっくと笑い創一の布団を引きはがす。



 



「まだ寝ているのか、寝坊助だな」



 



そう言っているがその顔は慈しむ父親の顔である。



顔にかかっている前髪を優しく払ってやると、何故かまた布団をかけなおす。



 



「あの……撻器様は何用で?」



「創一の寝顔を見に来ただけだ。起こすの頼んだぞ」



 



そう言ってすぐに部屋を出ていった。



嵐のように現れ、そして立ち去った撻器を見送り、2人はまた睨み合う。



 



「俺が頼まれたんだ。消えろ」



「いえ、私が頼まれました」



「どう見ても撻器様は俺の事を見て言った!!」



「いいえ!!私です!!」



 



そんな言い合いをせずに起こせばいいのだが、2人の口論は止まりそうにない。



そうこう言い合いしている時だった。



 



「……うるさい!!!!」



 



不機嫌そうな声が響くと、2人は言い合いを止め、驚いた顔でベッドへと視線を向ける。



創一が眠そうな顔で2人を睨み付けていた。



 



「何か殺気出しあって息苦しくなったり、うるさかったり、なんなの?」



「い、いえ!!これにはわけが……」



「僕の傍でそんな事をする理由って何?」



「それは……」



 



一気にしどろもどろになる2人に、創一は大きくため息を吐く。



 



「何で普通に起こしてくれないのかなぁ?夜行さんだったらこんな事しないのに。おいしい紅茶淹れて起こしてくれるし」



「「!?」」



 



まさかの妃古壱の名前、というか彼がコーヒーではなく紅茶を淹れて起こす事に2人は驚く。



そんな2人をよそに、眠そうな創一は睨み付けると



 



「2人共うるさいから、今度から朝起こしに来なくていいから」



 



と言い放ち、顔を洗う為に部屋から出ていく。



 



「……お、お屋形様に嫌われた……」



「うるさいって……」



 



ショックで崩れ落ちた2人に、洗顔が終わった創一が



 



「邪魔なんだけど」



 



と更なる追い打ちをするのは、後数分後の話。


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撻器さんと長の組み合わせが大好物な腐女子です
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