柚の樹と螢
柚の樹と螢
pixivに載せていた嘘/喰/い同人二次創作作品置き場
不定期に増えます
よくツイッターで呟いていた妄想を書いております
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その山には鬼が現れる
真っ赤な髪の鬼は人を喰らう
だから山には入ってはいけない
祠に供えなければ山から下りて赤子を喰らう
「……って新開は言われているけどよ、人を食うどころか兎を世話している優男じゃねぇか」
「噂って言うのは勝手に流れてしまうものだよ迅君」
美味そうに饅頭を食べている新開と呼んだ赤毛の鬼を、迅と呼ばれた男は呆れたように見つめていた。
確かに角は生えているのだが、小さな角だ、髪を上手く結わえばただの男にしか見えない。
「あれか、お前が恐れられているのはその赤髪のせいか」
「そこまで赤くないと思うんだけどねー。まぁ見慣れていない人達から見れば赤いのかもね」
「なるほど。んで、喰うって言うのは?」
「さぁ?俺もそこまでは知らないよ」
なぁうさ吉ー?と、その膝の上に載せている兎に向かって笑いかけていた。
この山で見つけたと言う兎はまだ小さな子だ。
迅も指でそっと頭を撫でてみれば、逃げることなく気持ちよさそうに目を細めた。
「まぁ、お前が人を喰うなんてありえねぇだろうな」
「迅君は信じてくれるんだ。嬉しい」
「お前みたいなお人好しが人を喰う姿なんてそうぞうできないだけ。いつも俺の作った料理は美味そうに食べてくれるけど」
「迅君料理上手だからねぇ。お嫁さんに欲しいよ」
「バーカ、俺は男だっての。それに俺がこっちに来たら誰が家の店を守るんだ」
「本気にしてくれないんだねぇ、残念」
本気なのか冗談なのか分からない笑顔を新開は迅へと向ける。
「ただ1つ疑問に思っている事があるんだけどよ…何で名前を教えてくれないんだよ?」
「名前?俺の名前って事?」
「おう。俺が田所迅、ってのは知っているだろ?なのに新開は新開ってしか教えてくれないからよ。名前なんて言うんだ?」
「ん~……それを教えるわけにはいかないんだよねぇ」
「どうして」
「鬼にとっての名前……真名は、基本的に誰にも教えてはいけないんだよね。白澤っているの知っている?あいつは鬼の名前を呼ぶだけで祓う力があるから、そういう力を持っている奴にうっかり名前が漏れないように、って事で名前は教えられないんだよ」
「……俺が勝手に誰かに言うと思っているのかよ?」
不機嫌そうに睨みつけてきた迅を見て新開は慌てて首を横に振る。
「いや、迅君の事は信用しているよ!!ただあいつ等はどこで聞いているかも分からないからね。用心の為に言わないだけ」
「なるほどな……その白澤達のせいで俺は新開の名前呼べないのかよ」
こんなに仲いいなら呼びてぇのに、と迅は不満そうに呟く。
すると嬉しそうに新開は笑った。
「ヒュゥ!!迅君からの熱烈な告白だね?」
「はぁ?告白?俺が?」
「……無自覚か。まぁいいや、これから先もあるしね……」
「何をブツブツ言ってるんだよ?」
「今後の事を考えていただけだよ。まぁこの山は山神が守っているから名前教えても問題はないと思うんだけどねぇ……そうなるともう1つ問題があるんだけど」
「まだあるのかよ!!そのもう1つの問題って?」
「まぁそれは……って、もうこんなに暗くなったから、そろそろ迅君は帰らないといけないんじゃないの?」
「ん?おぉ、もう空こんなに暗かったのかよ」
空を見上げれば夕闇に包まれかけている。
迅は慌てて風呂敷を畳みしまうと、山道を駆け下りる。
ふと足を止めて
「んじゃぁな新開!!今度会う時は名前教えろよー!!」
と、大声で手を振った。
新開も笑顔で手を振りかえすと
「人間が鬼の真名を知るっていうのはね……その者と契りを交わす事になるんだけどなぁ」
俺はいいけど迅君はその事を知らないのかな?と、また会える日を楽しみに新開は貰った饅頭の最後の一口を食べた。
真っ赤な髪の鬼は人を喰らう
だから山には入ってはいけない
祠に供えなければ山から下りて赤子を喰らう
「……って新開は言われているけどよ、人を食うどころか兎を世話している優男じゃねぇか」
「噂って言うのは勝手に流れてしまうものだよ迅君」
美味そうに饅頭を食べている新開と呼んだ赤毛の鬼を、迅と呼ばれた男は呆れたように見つめていた。
確かに角は生えているのだが、小さな角だ、髪を上手く結わえばただの男にしか見えない。
「あれか、お前が恐れられているのはその赤髪のせいか」
「そこまで赤くないと思うんだけどねー。まぁ見慣れていない人達から見れば赤いのかもね」
「なるほど。んで、喰うって言うのは?」
「さぁ?俺もそこまでは知らないよ」
なぁうさ吉ー?と、その膝の上に載せている兎に向かって笑いかけていた。
この山で見つけたと言う兎はまだ小さな子だ。
迅も指でそっと頭を撫でてみれば、逃げることなく気持ちよさそうに目を細めた。
「まぁ、お前が人を喰うなんてありえねぇだろうな」
「迅君は信じてくれるんだ。嬉しい」
「お前みたいなお人好しが人を喰う姿なんてそうぞうできないだけ。いつも俺の作った料理は美味そうに食べてくれるけど」
「迅君料理上手だからねぇ。お嫁さんに欲しいよ」
「バーカ、俺は男だっての。それに俺がこっちに来たら誰が家の店を守るんだ」
「本気にしてくれないんだねぇ、残念」
本気なのか冗談なのか分からない笑顔を新開は迅へと向ける。
「ただ1つ疑問に思っている事があるんだけどよ…何で名前を教えてくれないんだよ?」
「名前?俺の名前って事?」
「おう。俺が田所迅、ってのは知っているだろ?なのに新開は新開ってしか教えてくれないからよ。名前なんて言うんだ?」
「ん~……それを教えるわけにはいかないんだよねぇ」
「どうして」
「鬼にとっての名前……真名は、基本的に誰にも教えてはいけないんだよね。白澤っているの知っている?あいつは鬼の名前を呼ぶだけで祓う力があるから、そういう力を持っている奴にうっかり名前が漏れないように、って事で名前は教えられないんだよ」
「……俺が勝手に誰かに言うと思っているのかよ?」
不機嫌そうに睨みつけてきた迅を見て新開は慌てて首を横に振る。
「いや、迅君の事は信用しているよ!!ただあいつ等はどこで聞いているかも分からないからね。用心の為に言わないだけ」
「なるほどな……その白澤達のせいで俺は新開の名前呼べないのかよ」
こんなに仲いいなら呼びてぇのに、と迅は不満そうに呟く。
すると嬉しそうに新開は笑った。
「ヒュゥ!!迅君からの熱烈な告白だね?」
「はぁ?告白?俺が?」
「……無自覚か。まぁいいや、これから先もあるしね……」
「何をブツブツ言ってるんだよ?」
「今後の事を考えていただけだよ。まぁこの山は山神が守っているから名前教えても問題はないと思うんだけどねぇ……そうなるともう1つ問題があるんだけど」
「まだあるのかよ!!そのもう1つの問題って?」
「まぁそれは……って、もうこんなに暗くなったから、そろそろ迅君は帰らないといけないんじゃないの?」
「ん?おぉ、もう空こんなに暗かったのかよ」
空を見上げれば夕闇に包まれかけている。
迅は慌てて風呂敷を畳みしまうと、山道を駆け下りる。
ふと足を止めて
「んじゃぁな新開!!今度会う時は名前教えろよー!!」
と、大声で手を振った。
新開も笑顔で手を振りかえすと
「人間が鬼の真名を知るっていうのはね……その者と契りを交わす事になるんだけどなぁ」
俺はいいけど迅君はその事を知らないのかな?と、また会える日を楽しみに新開は貰った饅頭の最後の一口を食べた。
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