柚の樹と螢
柚の樹と螢
pixivに載せていた嘘/喰/い同人二次創作作品置き場
不定期に増えます
よくツイッターで呟いていた妄想を書いております
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最初に会った時、匠は淡白な人間なのかと思った。
常に眠そうな、何を考えているのか分からない目で表情を変えず淡々と喋る、そんな男だった。
しかしそう言うわけじゃない事を最近になって知ることになった。
人付き合いが苦手な匠は緊張のせいかどんな表情を浮かべればいいのか分からない、と本人が言っていた。
親しくなれば笑顔を見せてくれるし何かと愛想がいい奴なのを撻器は知っている。
それは自分が彼と恋仲になったからこそ余計分かるようになったのかもしれない。
そうなってくると、もっと新しい表情だったり自分しか知らない顔が無いかを知りたくなったりするわけで、撻器は今日も匠の家へと赴いた。
「匠、俺の事好きか?」
「好きじゃなかったら突然来訪してきたお前の事を叩き出しているが?」
「そうだな。お前はそういう奴だな」
「?」
お茶菓子が切れてきている時に来るなんて、とブツブツ言いながら匠はお茶を出す。
「いいんだ。行きたくなって来たわけだから」
「鷹さんに後で怒られるのは私なんだぞ?」
「え?」
「来訪者にお茶とお茶菓子の一つも出せないのか、ってこの前怒られた」
あの時は怖かった、と思い出したのかブルリと体を震わせる。
自分と対等の力を持っているのにこんな怖がりなのか、とちょっと笑うとバカにされたと思ったのか、眉間に小さなしわが寄った。
「バカにしているのか?」
「いやいや、可愛いと思ってな」
「……バカにしているんじゃないか」
「そう拗ねるな。でも子供っぽいところがあるのが匠のいい所でもあるぞ」
「子供じゃない!!それに撻器だって子供っぽいところがあるし、私は立派な成人男性だ」
「ぐはぁ!!ムキになっているなぁ。なら、立派な男だって証明できるか?」
「証明……どうやって?」
むくりと、悪戯心がわき上がる。
何をしてもらおうか、どんな事をしてくれるのかと頭の中にたくさんのアイディアが浮かび、その中で一番してもらったことを選ぶ。
「キスしてくれないか?」
「……キス?」
いつも撻器がしてくれるのか?と匠が首を傾げて聞き、撻器は笑顔で頷く。
自分からしているものを匠がしてくれるのか、と少し楽しみに反応を伺う。
「男の証明に、何でキス?」
「恋人同士のキスは男からするもんだぞー。まぁ俺達の場合は関係ないけどな」
恋愛にとことん疎い匠に嘘を教えれば、黙ったまま撻器を見つめている。
それは嘘か本当か伺っているのか、それとも他の考えがあるのか、珍しく撻器でも分からなかった。
「……」
「…………」
「………………ええいもう」
痺れを切らした撻器が顔を寄せて唇を触れ合う。
間近には少し目を見開いた匠が見えて、何で驚いているのだろうかと思いながら顔を離した。
「……少し位待て」
「俺はだいぶ待ったぞ」
「私からするのはまだ慣れていないんだ。少し位待って気持ちを整えさせろ」
「ぐはっ」
してやろうと思ったのに、と匠がそっぽ向く。
やろうとはしてくれたのか、と撻器は嬉しくなる。
でも
「待てません」
可愛い恋人が目の間にいるのにお預けなんてできないだろ?と撻器はまた顔を寄せた。
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