柚の樹と螢
柚の樹と螢
pixivに載せていた嘘/喰/い同人二次創作作品置き場
不定期に増えます
よくツイッターで呟いていた妄想を書いております
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「巳虎さん」
背後から聞こえてきた声に、巳虎は立ち止まり振り返った。
「弥鱈か」
「家に行ってもいいですか?」
「あ?急だな……別にいいけど」
弥鱈から言ってくるなんて珍しい、と巳虎は思いながら愛車の鍵を取り出し、ロックを解除させる。
いつもは黒服に運転させているが、巳虎はどちらかと言えば自分で運転するのが好きなので、たまに黒服の送迎を断っている事があるのだ。
そして弥鱈が家に行きたいと言うのは、巳虎が自分で運転してきた日に限っている。
出勤時間は別なのによく分かるよなぁ、と思いながら弥鱈を助手席に座るよう促した。
「どうしたんだよ?」
「別に。これと言った理由はありません」
「はぁ?」
「ただ行きたいと思っただけですよ」
「お前って本当に変だなぁ」
そう言っても弥鱈が怒らない事を巳虎は知っている。
それは何だかんだで長い付き合いになったせいか、それともただの仲よりも深いものになったせいなのか、今となってはどちらでも構わないと思っているが。
ただ1つ言えるのは
(多分こんな風に理由もなくこいつが動くのは俺の事ぐらいだろうなぁ)
普段は強者が這いつくばる姿にしか興味がない弥鱈が、こうして理由もなく家に来るなんてありえないはずだから。
家に来た弥鱈は特に何かをするわけでも、巳虎と話すわけでもなくぼんやりとソファに座っていた。
適当に置いた飲み物にも手を付ける様子はなく、グラスについた水滴が流れ落ちコースターを濡らす。
何しに来たんだか、と思いながら巳虎は着替える為に自室に戻ろうとし
「巳虎さん」
また弥鱈が唐突に声をかけてきた。
「何だ?」
「どこに行くんですか?」
「着替えるんだよ」
「別にまだいいじゃないですか」
「何で?」
「とにかく、隣に座っていてくださいよ」
ぽん、と軽く空いている自分の横を叩いた。
巳虎は変な奴、とまた呟きその隣に座る。
「何がしてぇんだよ本当に」
「……そうですね~」
唾のシャボン玉が飛んだ。
何度もやめろ、と言ってもこの癖だけは抜けそうにないようだ。
しばらく黙ったままいると
「巳虎さん」
「何だ?」
「キス、してください」
「……キス?」
これまた珍しい、と巳虎は目を丸くさせる。
普段から恋人がするような行為を嫌う彼から求められるなんて、と思いながらその顔を見た。
相変わらず視線の合わない目からは何を考えているのかはよく分からない。
「まぁいいけど……唇を突き出せ」
「……」
珍しく、素直に顔を巳虎へと寄せた。
それが嬉しくて、そしてこんな風にするのを見れるなんてとおかしくなって巳虎は笑う。
「お前、何か今日は変だし素直だな」
「……からかっているんですか?」
不機嫌そうな声で弥鱈は巳虎を見つめる。
その目は少しだけ巳虎を咎めていた。
「わりぃわりぃ、からかってねぇよ。ただ変だけど可愛いと思った」
そう言って唇を触れ合えさせれば、弥鱈の目が見開かれたのが見えた。
こいつもこんな顔するんだなぁ、と巳虎は間近で見つめながら、唇を離す。
「……するんなら最初から普通にしてください」
「そしたら最初から普段道理に言えよ、この甘え下手」
「…………分かっていてからかったんですか?」
「いや、今気づいた」
巳虎さんって呼ぶとき、お前が甘えたい証拠なんだろ?
それが図星だったのか馬鹿らしいと思ったのか、笑っている巳虎の頭を弥鱈が軽くたたいた。
背後から聞こえてきた声に、巳虎は立ち止まり振り返った。
「弥鱈か」
「家に行ってもいいですか?」
「あ?急だな……別にいいけど」
弥鱈から言ってくるなんて珍しい、と巳虎は思いながら愛車の鍵を取り出し、ロックを解除させる。
いつもは黒服に運転させているが、巳虎はどちらかと言えば自分で運転するのが好きなので、たまに黒服の送迎を断っている事があるのだ。
そして弥鱈が家に行きたいと言うのは、巳虎が自分で運転してきた日に限っている。
出勤時間は別なのによく分かるよなぁ、と思いながら弥鱈を助手席に座るよう促した。
「どうしたんだよ?」
「別に。これと言った理由はありません」
「はぁ?」
「ただ行きたいと思っただけですよ」
「お前って本当に変だなぁ」
そう言っても弥鱈が怒らない事を巳虎は知っている。
それは何だかんだで長い付き合いになったせいか、それともただの仲よりも深いものになったせいなのか、今となってはどちらでも構わないと思っているが。
ただ1つ言えるのは
(多分こんな風に理由もなくこいつが動くのは俺の事ぐらいだろうなぁ)
普段は強者が這いつくばる姿にしか興味がない弥鱈が、こうして理由もなく家に来るなんてありえないはずだから。
家に来た弥鱈は特に何かをするわけでも、巳虎と話すわけでもなくぼんやりとソファに座っていた。
適当に置いた飲み物にも手を付ける様子はなく、グラスについた水滴が流れ落ちコースターを濡らす。
何しに来たんだか、と思いながら巳虎は着替える為に自室に戻ろうとし
「巳虎さん」
また弥鱈が唐突に声をかけてきた。
「何だ?」
「どこに行くんですか?」
「着替えるんだよ」
「別にまだいいじゃないですか」
「何で?」
「とにかく、隣に座っていてくださいよ」
ぽん、と軽く空いている自分の横を叩いた。
巳虎は変な奴、とまた呟きその隣に座る。
「何がしてぇんだよ本当に」
「……そうですね~」
唾のシャボン玉が飛んだ。
何度もやめろ、と言ってもこの癖だけは抜けそうにないようだ。
しばらく黙ったままいると
「巳虎さん」
「何だ?」
「キス、してください」
「……キス?」
これまた珍しい、と巳虎は目を丸くさせる。
普段から恋人がするような行為を嫌う彼から求められるなんて、と思いながらその顔を見た。
相変わらず視線の合わない目からは何を考えているのかはよく分からない。
「まぁいいけど……唇を突き出せ」
「……」
珍しく、素直に顔を巳虎へと寄せた。
それが嬉しくて、そしてこんな風にするのを見れるなんてとおかしくなって巳虎は笑う。
「お前、何か今日は変だし素直だな」
「……からかっているんですか?」
不機嫌そうな声で弥鱈は巳虎を見つめる。
その目は少しだけ巳虎を咎めていた。
「わりぃわりぃ、からかってねぇよ。ただ変だけど可愛いと思った」
そう言って唇を触れ合えさせれば、弥鱈の目が見開かれたのが見えた。
こいつもこんな顔するんだなぁ、と巳虎は間近で見つめながら、唇を離す。
「……するんなら最初から普通にしてください」
「そしたら最初から普段道理に言えよ、この甘え下手」
「…………分かっていてからかったんですか?」
「いや、今気づいた」
巳虎さんって呼ぶとき、お前が甘えたい証拠なんだろ?
それが図星だったのか馬鹿らしいと思ったのか、笑っている巳虎の頭を弥鱈が軽くたたいた。
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