柚の樹と螢
柚の樹と螢
pixivに載せていた嘘/喰/い同人二次創作作品置き場
不定期に増えます
よくツイッターで呟いていた妄想を書いております
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「……それで、どうするつもりなんだ門倉?」
押し倒された状態で、南方は門倉を見上げ問いかける。
南方の上にまたがっている門倉の表情は、下された髪と影によって見えない。
「俺を押し倒して、それで?」
フローリングの床に押し倒されたせいか、後頭部が痛い。
そしてこんな事をする門倉が珍しい、よく見れば眼帯がすぐそばに落ちている。
そんな風にあくまで冷静に観察している南方の唇に門倉が噛みつく。
噛みつくようなキス、ではなく食いちぎろうとせんばかりに歯を立てた。
「い゛……っ!!」
予想外だった南方は反射的に殴り飛ばそうと拳を固める。
しかしそれよりも先に門倉が顔を離した。
噛まれた唇からうっすらと血がにじみ、不味い鉄の味と臭いが広がる。
「何するんじゃおどれ……」
「どっちがいい?」
門倉が南方のネクタイを緩めながら問いかける。
「どっちがいい、とは?」
「お前が上か、俺が上か」
「どこかに頭打ったのか?」
門倉から誘惑するのなら、黙って押し倒してそのまま何も言わずに行為を起こしているはずだ。
わざわざ確認するなんてらしくない。
それに
「お前か俺かと言ったら、お前が上だろ?」
男としてはプライドを少々傷つけるが、南方はいつだって門倉の好きなようにされていた。
それが苦痛に感じていた時期もあったが、今はもう慣れてしまったのかそれとも感覚が壊れてしまったのか、どうであろうと快楽を得られるのだからどうでも良くなっていたが。
「たまにはヤってみたいと思わないのか?支配者を屈服させる、ってこと」
「……おい、お前誰だ?」
南方の目が鋭くなる。
目の前にいる人物は確かに門倉だ。
しかし、わずかに見えた、怪しく光った目はいつもの彼とはかけ離れた異質なものだ。
「お前の好きな門倉雄大だよ。いや、お前を壊した、かな?」
「そうだろうな。でもお前は違う。……その傷のせいか?」
手を伸ばし、額にある傷をなぞる。
触られたくなかったのか、すぐに払い落とされた。
「そうとも言える、そうじゃないとも言える。どっちの俺が好きだ?恭次君?」
俺だったら優しく抱かれてもいいけど?と笑い混じりの声で問いかける。
南方はため息を吐いた。
「いつもに決まってんだろボケ。さっさと戻れや。それとも、そんな人格に負ける程弱かったのかな?雄大君?」
わざとらしくバカにしたように言ってやれば、空気が変わった。
「……せっかくチャンスをやったというのに、ばかな奴だ」
「お前を犯したところで何にも変わらない。それに俺が屈服させたいのはお前じゃない」
「はっ、俺は俺だっていうのにな」
バカな奴だ、ともう一度言うと門倉は立ち上がり、そのままソファへと座る。
やっと解放されたと固いフローリングから起き上がれば門倉が怪訝そうな顔で南方を見た。
「……何でそんな所で寝とるんじゃ?」
「ははっ、記憶にないか」
「?」
「……何でもない。大丈夫だ」
侵食されたって俺はお前を愛しているし、忘れないから
声には出さず、ただ不思議そうな顔をしている門倉を抱きしめた。
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