柚の樹と螢
柚の樹と螢
pixivに載せていた嘘/喰/い同人二次創作作品置き場
不定期に増えます
よくツイッターで呟いていた妄想を書いております
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「何で髪を下したんだよ、門倉ぁ」
不満そのもの、と言った表情と声色で南方は門倉を睨みつけていた。
こいつが感情をむき出しにするなんて珍しいな、と思いながら髪によって隠れている傷跡をなぞる。
「傷が見えて落ち着かん」
「別に傷跡位どうって事ないだろ。お前の体はすでに傷跡だらけになっているのに」
「アホ。普段見える傷と見えない傷を一緒にするな」
「……リーゼントでも傷跡を見せないようにすることなんてできるだろ」
「お前は何をそんなに不貞腐れているんじゃ?」
いつもと様子の違う南方に調子狂う門倉は少しばかり苛立った。
南方は不貞腐れたようにそっぽ向くと、ぼそりと呟いた。
「……お前の髪を下した姿を見れたのは俺だけだと思ったのに……」
「……お前、意外と女々しいな」
「うるせぇよ。それに……」
「それに、何じゃ?はっきり言いんしゃい」
そっぽ向いた顔を無理やり自分へと向けさせると、チラリ、と門倉と目を合わせたが、すぐに視線を逸らした。
「目を見て言えん事か」
「そうだよ悪いか」
「悪いに決まってんだろ。しかたがないから視線逸らしたままでいいからはよ言え」
「……お前、またかっこよくなったから見ているとムカつく」
視線を合わせにくくなったこっちの気持ちにもなれ、と予想もしていなかった回答に門倉は目を丸くし、声に出して笑った。
「……はははは!!!!お前、面白い事言うのぉ」
「笑う事はねぇだろ!!」
「何じゃ、惚れ直したから目線合わせにくくなっただけか。……南方、こっち向け」
「嫌だ。近すぎる」
「いいから向けって」
「離れたら向いてやるよ」
「恭次」
「……名前で呼ぶな」
少しだけ紅潮した頬を見て門倉は満足げに頷く。
「本当に俺の事が好きなんじゃな」
「悪いか?」
「アホ。そうじゃなかったらお前の事をぶん殴っとるわ」
「そう言うと思った。……本当にムカつく。俺だけこんな風になるなんて」
「アホ」
南方の頭に顎を乗せた。
重い、と下から抗議してくるがおかまいなしだ。
(お前が可愛い事言うから、ワシも恥ずかしくなったわボケ)
髪で隠れていて見えないが、門倉の耳も少しだけ赤くなっていた。
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