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柚の樹と螢

柚の樹と螢

pixivに載せていた嘘/喰/い同人二次創作作品置き場 不定期に増えます よくツイッターで呟いていた妄想を書いております
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嘘喰いワンドロで目蒲さん祭りやっているしお題が目蒲さんなので参加してみました。
以前ツイッターで呟いていた憑き物シリーズで書いてみました。
もしかしたらこれの続きは夢小説で書くかもしれません



拍手[1回]



物心がついた頃から人の首に何かが巻きつけられているのをぼんやりと見えていた。
それは人によってそれぞれ違っていて、まるで首を絞められているような手形の人間もいれば、太い縄のようなもの、細い線の人間もいれば切りつけられたような傷跡のようにも見えた。
ただそれらに言える事は、全てそこから血が流れるかのように、ぐるりと一周巻きつけられていた。
それともう1つ

「ふふっ、いっぱいいるわねぇ、もうすぐ死ぬ人」

隣にはなぜか知らない女がクスクス笑っている。
長い黒髪によって顔を見た事はないが、青白い肌は生を感じさせず、事実自分の隣にいても誰も気づいていない。

「あんたは幽霊なのか?それとも生きている人間?」

以前聞いた事がある。

「どちらでもないけど、見えるわけないわよ。あなた以外にはね」

神さまだと思えばいいわよ、と隣の女はにぃ、と笑った気がした。




少しだけ赤い線、赤黒くなった線、人々の首に色は違えどぐるりと首を一周している。

「見慣れたとはいえ、不愉快ですねー。人に言えば不気味がられるだけですけど」

ひとりごちで言ったその言葉も、隣の女はいつだって聞いている。
クスクスと隣の女は笑って青白い指で歩いている男を指差した。
そいつの首は赤黒くに変色した手形がくっきりと見える。

「あの人が何か?」
「赤黒ければ赤黒いほどもうすぐ死ぬ人。あの人はもうすぐ殺されるわね」
「……その痕によって死に方が決まっているんですか?」
「えぇ、そうよ」

隣の女が楽しそうに話す。
いつも笑っている女は不愉快そのものだが、物心ついていた頃からずっと隣にいた事と、必要最低限しか話さないからまだ我慢できる。

「普通の線のような痕以外は、それに関連した殺され方……または事故が起きるわね。だから千切れたのをくっつけたような跡の人は事故で首が吹っ飛ぶの」

悲惨な最期ねぇ、とクスリクスリ笑っている。
そいつの死に際がどうなろうとどうでも良かったが、もしもそれを自分が伝えたらどうなるのかとふと思う。
すると隣の女は気づいたようだ。

「伝えたとしても無駄よ。死ぬ人は死ぬ。例外を除いてね」
「どういった例外が?」
「それを教えたら面白くないでしょ?」

それとも鬼郎君は自分で考えるよりも先に答えを教えてほしいのかなぁ?と子供を相手にしているようなその声に苛立ちを覚えた。




「……で、私も死ぬ人の仲間入り、ですか」

首には太い縄のような痕がある。
その色はまだ赤いだけだが、いずれ赤黒くなり、おそらく首を吊って死ぬ事になるのだろう。

「えぇそうね」

隣の女はあっさりと答えた。
はぐらかされるよりはましだった。

「まだ死ぬのには時間がかかりそうですねー」
「えぇ。でも死ぬものは死ぬわ」
「知っていますよ、今まで散々見てきましたから」

親族も、知人も、命の取り立てをやった人間も
皆皆、最期は赤黒い痕が体全体を侵食して、そして消えた時には死んでいた。

「怖い?」
「まさか。私はそう簡単に死ぬわけがありませんから」
「そうねぇ、あなたのお仕事を考えればもしかしたら不死になれるかもね?」
「私の仕事が?」

臓器提供は関係ないはずだ、首を吊って死ぬ事になるのだから。
隣の女は私の首の痕をなぞる。

「その線が見えている人は人を殺せば少しだけ寿命が延びるの。まぁ延びると言っても数日なのか数週間か、それとも数分かは分からないけどね。そうじゃなかったら、あなたもう死んでいたわよ?」
「……あぁ、なるほど」

だから自分はまだ生きているのか
知らない間に誰かの命を奪って、それで縄の長さでも足していたのか?

「もっと殺せばもっともっと延びるわよ?」

ほら、あそこのもうすぐ死ぬ人を殺したら?と窓の外を指差して女は笑った。
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撻器さんと長の組み合わせが大好物な腐女子です
妄想をいただけると勝手に書いていることもあります

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