柚の樹と螢
柚の樹と螢
pixivに載せていた嘘/喰/い同人二次創作作品置き場
不定期に増えます
よくツイッターで呟いていた妄想を書いております
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「蜂名……本当に行くのか?」
額人は歩きにくそうにしている蜂名に声をかける。
ヴォジャとの戦いで負傷したその足はまだ完治していない。
しかし、何かの戦いへと行く蜂名を止める術を額人は持っていない。
「僕の事は大丈夫だから。ガクトは僕の事について問われたら適当にごまかして」
「しかし……!! 「僕のことを信じて、ガクト」
数日の間、蜂名との距離は縮まった。
しかしその分、彼の抱えている物を知り、自分とは隔たれた存在だと、知った。
「……分かった。お前を信じる。ただ、1つだけ約束してくれ」
「何?」
「絶対に……絶対に、俺のところに戻って来い。何があっても、俺のところに」
意外だったのか、滅多に表情を変えない蜂名が少しだけ目を見開いた。
そして薄く笑うと
「大丈夫。僕は絶対に勝つから」
と、返した。
それから、数日後。
額人は頭を抱えてテーブルに突っ伏していた。
理由は簡単である。
「蜂名……本当に大丈夫なのか!?」
彼の頭脳が優秀なことも、あの船から脱出するだけの実力がある事も知っている。
しかし、それでも心配なものは心配だ。
まずあの容姿、男でも惚れるような整った顔である。
これから戦う舞台の詳細は全く知らないが、長い間閉鎖された空間にいるというのは精神衛生上危なくないか?
その欲望のはけ口が、蜂名に向かうのでは……?
「……って、違う!!そんな事を俺は思っていないぞ!!」
自分はノーマルだ、同性愛者ではない。
そもそも、そういった環境になるからと言って自分が危惧している事が起きるとは限らない。
しかし、蜂名の敵となった男が同性愛者じゃない可能性が無いわけじゃない。
もしかすると、もしかすると……だ。
「……」
ふいに、蜂名の顔を思い浮かべる。
ほとんど無表情だった。
そりゃぁもう、わがまま言うだけ言って何の見返りも無く、何が起きたのかも一切話してくれない自分勝手にも程があるだろ、と言わんばかりの男だ。
それでも、それでも
『あと少しだけ君の知っている蜂名 として君といたい』
あの時言った言葉は、あの表情は、本物だと思う。
「……蜂名ぁぁぁあああ!!!!」
何を迷うことがあったのだろう
額人は雄たけびのように蜂名の名を叫ぶと、そのまま家を飛び出す。
向かう先は港、理由は何となく孤島にいそうな気がしたから。
「待っていろ、俺が今から助けに行くからな……!!」
そのまま水面へと飛び込むと、きれいなフォームのクロールで泳ぎだす。
その先に蜂名がいることは額人は知らない。
ただ、今は蜂名を助けるために、ひたすら泳ぎ続けた。
おまけ
「……ん!?」
自分のやや左方に水しぶきを上げながら泳ぐ人物がいる。
老人のように見えるその人物の顔には傷跡が走っており、只者ではないとすぐに理解する。
「お屋形様ぁぁぁああ!!!!」
そう叫んでいる老人もどうやら誰かを守るため、この海を泳いでいるようだ。
「……俺も負けていられない」
とにかく早く、蜂名を見つけるまでこの歩み(泳ぎだが)を止めないと、額人はさらにペースを上げた。
ここに、非公式ではあるが額人vs丈一の、互いのプライドをかけた戦いが、始まる
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