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柚の樹と螢

柚の樹と螢

pixivに載せていた嘘/喰/い同人二次創作作品置き場 不定期に増えます よくツイッターで呟いていた妄想を書いております
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『長は喉からぽろぽろと宝石が出てくる病気です。進行すると一日を殆ど眠って過ごすようになります。トカゲの尾が薬になります』って診断メーカー?のやつで出てきたので書いてみました。 雰囲気が何となく撻長で続きそうで続かないです。 けっこうファンタジー風な感じの結果が出るのでまた何か書こうかと


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何かが喉に詰まるような、違和感に襲われた長は少し咳き込んだ。
すると喉から口へと異物がせり上がる痛みが走り、口を押えていた手に何かが吐き出される。
しばらく咳き込み、ようやく落ち着いてから確認すると

「……宝石?」

手の中にあったのは、唾液に濡れた小さな赤い宝石だった。


何度も高名な医師がいると言われている病院に行き、最新の設備を使って体のすみずみまで検査してもその原因を特定することは出来なかった。

「こんな症例は初めてだ……」

と呟いた医者に対して当たり前のことだろうと思いながら吐き出された宝石を見やる。
真っ赤なそれは鮮血を思い出し、これを吐き出し切ったら自分は死ぬのではないのだろうか、とぼんやり思った。

それから何度も違和感に襲われ咳き込めば、宝石が吐き出された。
最初は1週間に1度だったものが段々と間隔を狭め、最近では頻繁に吐き出されるようになった。
それと同時に宝石が吐き出される量も増え、以前は数個しか吐き出されなかった宝石は、片手では零れそうなくらいまで吐き出されるようになっている。

その事を久しぶりに会った撻器に話してみると、目を丸くさせて驚いた。

「おかしな奇病だな」
「だろうな。どこの医者に診せても分からないと言われた」
「俺のところの専門医にも行くか?」
「お前に頼る気はない。……ゲホッ」

咳き込み始めた長の背中を撻器がさする。
何度も激しく咳き込み、しばらくして落ち着いたのか、深呼吸をしてその手を口から離す。
手から小さな宝石がこぼれ落ち、更に量が増えたようだ。

「……長、病院に行くぞ。俺の知っている限りの医者に診てもらおう」
「無駄だ。誰に診てもらったとしてもこんな現象が解明できるわけないだろう」
「そうかもしれんが、診てもらわないよりはマシだ」

長の腕を引っ張り無理やりにでも連れて行こうとすると、その腕には抵抗するような気配がない。
不思議に思い振り返ると、寝ていた。

「長?」

話しかけても、軽く頬をたたいても反応を見せず、完全に熟睡しているようだ。
これ幸いと思い車に乗せると、最新設備のある病院への入院手続きと世界中にいる名医を集めるよう指示を送った。




撻器が集めた医者達の診断をしても、どれだけ体中を調べても、その原因は不明だった。
長は勝手に入院させられた事に苛立っていたが、このままでは仕事がまともにできない事を伝えれば不本意ながらも納得した。

「久しぶりに休めているせいか眠いのか?」
「……そうだな」

入院してから、長はよく眠るようになった。
自覚なく眠ってしまうのは、この奇病が進行しているためなのか、調べてみても不明だった。
こうして宝石を吐き出す以外の1日の大半を睡眠に費やすようになり、ゆるやかに衰弱していった。




「…………たつ、き?」

長が目覚めると、撻器が手を握っていた。
起きたことが嬉しいのか、笑顔で顔を覗き込む。

「起きたか。調子はどうだ?」
「……どのくら、ねて……?」
「ほぼ1日だ。何か飲みたいものはあるか?」
「……な、い」

まだ眠いのか、その目には力が無い。
眠らないようにと力強く手を握ってみるが、握り返したその手は弱弱しかった。

「ケホッ」

咳き込み始めると体を起こしてやり、洗面器を渡す。
そこに宝石が溜まっていくと、まるで血のように見えて思わず目をそむけた。

「……切間」
「どうした?」
「もう、来なくていい……」
「何を言ってるんだ。目が覚めても寂しくないようにいつでもいてやるさ」
「いや……仕事しろ」
「ぐはっ、その辺は相変わらずだな。ここできちんと仕事をしているから安心しろ」
「……そうか」

目を閉じ、また規則正しい寝息が聞こえてくる。
洗面器の中に入っている宝石を袋の中に入れ、病室の外にいる黒服を呼び出し袋を渡す。

あの宝石はいったいどれほどの量になったのか、もしもあれが吐き出し切ってしまったら……

嫌な予感を振り切るように頭を横に振ると、長の唇に自分の唇を重ねる。

「……絶対に治療法を見つけてやるから、ゆっくりおやすみ」

優しい声で言ったその言葉は、届いたかのように瞼が震えた。
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柚樹 螢
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女性
自己紹介:
撻器さんと長の組み合わせが大好物な腐女子です
妄想をいただけると勝手に書いていることもあります

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