柚の樹と螢
柚の樹と螢
pixivに載せていた嘘/喰/い同人二次創作作品置き場
不定期に増えます
よくツイッターで呟いていた妄想を書いております
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「プロトポロス……?」
「えぇ。今度の立会勝負の卍として決定しました」
ベッドに寝ている巳虎に対して弥鱈がいつものよう視線を合わせずに報告をする。
胸にある傷はまだ完全に癒え切ってはいないが、上体を起こす事を苦に感じなくなっただけ回復したようだ。
「わざわざここに来たって事は、俺も入卍しろって事か?」
「いえ、まだその傷では満足に仕事ができないでしょう。待機していてください」
「……それは俺が足手まといって言いたいのか?」
不機嫌そうに眉を寄せる巳虎に対して相変わらずこの人は分かりやすい、と弥鱈は思う。
しかしそのくせに自分の心の中に入ってくるよく分からない男だ、とも思った。
「違います。万全に動ける前に勝負が始まります。そうなると後の補充ができないので、こちらで賭郎の運営を頼みます」
「なるほど」
「それとも今の状態で入卍しますか?」
「んな事させようと思ってねぇくせに。お前は行くんだろ?」
「当たり前じゃないですか」
「お前、絶対に死ぬなよ」
あまりにも真剣な目で見つめる巳虎に、弥鱈は呆れた顔を浮かべる。
「死ぬわけないでしょう。最高の瞬間に立ち会えるのにもったいない」
「そういやお前はそういう奴だったな……。それと、絶対にケガすんなよ」
「……まぁ状況によるので約束はできませんね」
「お前俺の時みたいにわざとボコボコにされるなよ?いいな?」
「私がそう言った性癖だと思っての忠告ですか?」
「んなわけねぇだろ。俺に勝った以上、みっともねぇ姿を見せるなって言ってんだよ」
「そうですか。てっきり心配してくださったのかと思ったのですが」
その言葉に反応した様子を見ると、どうやら図星のようだ。
気まずそうにしている巳虎を見ていると、もう少しからかいたいが、これ以上やりすぎると傷口が悪化する危険があるので何とか押しとどめた。
「巳虎さんって時折分かりやすいですよね」
「うるせぇ!!心配して悪いか!?」
「悪くはありませんが、珍しいと思いまして。……大丈夫ですよ。そう簡単にやりません……たぶん」
「そこは約束しろよ……」
「できる限り守りますよ。では、私は行きますね」
「おう。頑張っていけよ」
「はい」
病院から出て、用意された車に乗りながら先程の会話を思い出す。
心配されるなんて、今まで思ったことがなかった。
入卍してからは連絡を取る事は難しいだろう、何と言ってもあのラロと嘘喰いの大勝負だ、一度たりとも気を抜くことはできなくなる。
「……まぁ、報告してあげるのには頑張りますか」
せめて巳虎にどのような勝負だったのか、すぐに教えてあげるために
そして無事な姿を見せてやって安心させるために
父親以外の人の為を思うなんて自分らしくないな、と思いながら、今世紀最大になるであろう勝負への準備を始めるのであった。
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