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柚の樹と螢

柚の樹と螢

pixivに載せていた嘘/喰/い同人二次創作作品置き場 不定期に増えます よくツイッターで呟いていた妄想を書いております
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長が撻器さんの事が大好きなようです


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面倒だった仕事をようやく片付け、報告書もまとめてると花に声をかけられた。

「お疲れ様。明日は久しぶりの休みなんだろ?後は私がやっておくから帰って休みな」
「そうか、悪いな」
「久しぶりなんだ、ゆっくりしていきな」

少し引っ掛かりを覚えたが、言葉に甘え久しぶりに家へと帰る。
久しぶりに歩く帰路は少しした変化があり、角を曲がってみれば何やら新しい店ができていた。
そう言えば片付いた仕事が始まる頃に工事をしていたような、と思いつつその前を通ると、広告が目に入り足が止まった。

「手芸屋か」

【開店セール!!】と丸みをおびた文字で書かれたその店はどうやら手芸店のようで、ショーウィンドウ越しからは布や毛糸玉などが見える。
長自身は裁縫の類はやらないが、ふと脳裏に1人の男が思い浮かぶ。
確かあいつの趣味が刺繍だったな、と思うと自然と店の中へと入っていった。




「ありがとうございました~」

店から出ていくと、その手には刺繍糸と布が入っている袋が握られている。
何となく眺めるだけで終わらせようと思っていたはずだが、その男好みに見えたものをつい買ってしまった。

「……まぁ、いいか」

別に渡してしまえば勝手に何かに使ってくれるだろう、と自己完結させて家へと足を進める。
そう言えばプレゼントを渡すのは初めてだったような気がする。

「こんなのであいつは喜ぶのか?」

袋を見て思わず呟くと、そんな事を考えている自分に少し驚いた。


恋人、というよりは性欲処理に都合のいい女ができれば、その女が奉仕してくれた行為に見合った報酬を渡していた。
その時にその女性の好みかどうか気にすることも、それ以外でプレゼントを渡す気はなく、金だけで繋がっていた女は次々と離れていった。

そして今、なぜか恋人のような曖昧な関係にいるのは、自分の元へ来る面倒極まりないタイヤ靴を履いている男であり、付き合いが今までで一番長い。
欲情するのは柔らかな女の体であり、決して筋肉質で硬い体に欲情したことは一度もない
何が良くてあいつと付き合っているんだか、と考えていると、家の前に見慣れた人影が見える。

「おぉ、おかえり」
「……いつからそこに立っていたんだ?」
「少し前だ」
「嘘つくな、鼻が赤くなっている。よく今日帰ってくると分かったな」
「ほら、三鷹……だったか?が教えてくれたんだ」
「鷹さん……」

別に言う必要がないだろ、と思ったが渡すのにはちょうどいいタイミングである。

「コーヒーでいいか?」
「何でもいいぞ。インスタントなら何だって変わらない」
「お前のように高級品ばかり飲んで贅沢をする気はない」
「ぐは!!否定はできないな」

ソファに座らせておくと、テーブルの上に乗せた袋に興味を持ちだした。
ちょうどコーヒーを淹れてきた長に中身を問いかける。

「なぁ、これは?」
「お前にやる」
「……仕事のし過ぎで熱があるのか?」
「殴られたいのか?」
「いや、初めてじゃないか?こうしてプレゼントしてくれるなんて」

何が入っているんだ?と子供のように顔を輝かせながら袋の中を取り出すと、買ってきたものと長を交互に見やる。

「これを、俺の為に?」
「近くに手芸店ができたみたいでな。刺繍が趣味と言っていたし、そっちの布はお前好みそうだったから買ってみたが……嫌だったか?」
「そうか、俺の為にか!!ありがとうな、嬉しいぞ!!」
「嬉しいのか?」
「ん?当たり前だ、お前が俺の為に選んでくれたものだろ?」
「そうだが……」

初めてのプレゼントが高級品でもなければ特別な物でもないのに、撻器は喜んでいる。
その顔を見ていると、張っていた気が少しだけ緩んだ。

「いやぁ、久しぶりに長に会えたと思ったらプレゼントまで貰えるなんて嬉しいな」
「そうか」
「俺も後でお礼をするべきか?」
「お礼なら今からでもできる。一緒に寝るぞ」
「……それは誘っていると思っていいのか?」
「私は疲れているんだ。普通に寝かせろ」

シャワーを浴びようとリビングから出ると、背後から不満そうな声が飛んできた。

「何だ、つれない男だな」
「そんな男が好きなのはどこの誰だ」
「ぐはぁ!!俺だな」

きっと振り返れば笑顔で言っているのだろう。
今日は疲れてすぐに寝てしまうが、明日は撻器に合わせてやろうかと、少しだけ笑みを浮かべた。
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柚樹 螢
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女性
自己紹介:
撻器さんと長の組み合わせが大好物な腐女子です
妄想をいただけると勝手に書いていることもあります

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