柚の樹と螢
柚の樹と螢
pixivに載せていた嘘/喰/い同人二次創作作品置き場
不定期に増えます
よくツイッターで呟いていた妄想を書いております
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撻器さんの顔だけが好みな長の話を書く担当になりました、ゆずきです←
書いてみたいシュチュエーションだと言ったら書いてもいいよ!!と許可をいただいたので書かせていただきますが、イメージと違った作品になってしまいます。すいません。
廃工場での取り立てが終わった時、長は影から抜け出したかのように現れた。
ただ者では無い様子に警戒するが、敵意を感じられない。
しばらく撻器を見つめると
「好みの顔だ」
初めて出会い、開口一番がその言葉だった長に撻器は少しだけ目を丸くさせた。
ふざけて言っているのか、とその顔を見るが鉄面皮のままで真意を読み取ることができない。
「ぐはっ、面白い事を言う男だな」
「事実は事実だ。ただ、その性格と所属組織は気に食わない。その恰好から察するに……賭郎の者だろう?」
「そうだ。知っていると言う事は……警察の者か。見つけた以上、俺とやるか?」
長の実力を知りたい、と撻器の好奇心が疼き出す。
が、その返事は素っ気ないものだった。
「いや、今は職務中ではない」
「……ぐはっ、時間外は働く気がないのか」
「そもそも今すぐに闘う必要がないだろう。任務で会う時があればやってやる。今日はお前に会えて良かった」
そう言うと、長はまた影の中に溶け込むように消えた。
また会う事はあるだろうがその時には冗談を言わないだろう、程度に思っていた。
2回目に会った時、その時は自分が密葬中の長に出会った。
わずかに漂う血の臭いに気づかなければ、きっと素通りしていただろう。
長は相変わらず無表情で撻器を見つめていた。
「なぜここに?」
「たまたまだ。それにしてもいい腕だな。賭郎に来ないか?」
冗談混じりに聞いてみると、少し考えるそぶりを見せた。
「……お前の顔を毎日眺められるのか。悪くないな」
「冗談が好きな男だな。しかしもう飽きているからやめろ」
「私は意味のない冗談を言わない。お前の顔は全体的に整っていて素晴らしいと思うが、その目が特に好きだ。自由奔放にやっているようだが、その根底は黒く淀んでいる。人を引き寄せからめ取り、そして支配するその目を持っている奴はお前くらいだろう」
顔は無表情のままだが、その声には熱がこもっている。
「褒められるのは悪くないが、どうなんだ?賭郎に来てくれるのか?」
「断る。我々以外の秩序がある事は許す気はない」
「そうか。では敵同士のまま、という事か」
「気に食わないな。お前が敵でなければその顔を傷つけずに済むのだが」
「まだそんな冗談を言うのか……」
いい加減にしろ、と言おうと口を開くと、額に柔らかい感触。
それが髪の毛だと知り、次に口の中にぬるりとした濡れた柔らかい感触が長の舌だと気づくと、思い切りその舌を噛んだ。
その顔が離れると、痛みのせいか、少しだけ歪ませていた。
「痛いだろ」
「何を考えているんだお前は……」
「本気を見せてやっただけだ。信じたか?」
「あぁ、嫌でも信じるしかないだろうな」
キス程度で驚くことはないが、男に舌を入れられる日が来るとは、と撻器は嘆く。
「それで、どうなんだ?」
「どうなんだって、何が?」
「私はお前の顔が好みだと意思表示をした。お前は私の事をどう思っているんだ?」
「どうにもこうにも……まぁ、好きと言えば好きだ、実力の意味ではな。それ以外では面白い男ぐらいだ」
「そうか。まぁいいだろう」
「お前はどう思っているんだ?」
「顔以外は気に食わない。賭郎を抜け出してこっちにこい。そうすれば性格も矯正してやる」
「悪いが俺は今が楽しくて楽しくて仕方がなくて、そんな賭郎から抜け出す気はない。諦めろ」
「……苛立つものだな。欲しいものが目の前にあるというのに、手に入らないのは」
忌々しそうに睨みつけ、そして背中を向けて歩き出す。
「こっちにお前が来ればいいだけだろ~」
「お前の顔を身近で見れるのは喜ばしいが、組織自体に嫌悪があるだけで興味はない。またその顔を見に来る」
「ぐはっ、熱烈な告白ってやつか?俺は簡単に落ちないぞ?」
ふざけて言ってみた言葉に、長は振り返る。
「構わないさ。お前に会えるのならな」
そう言って無表情だった顔が不敵に笑うと、またすぐに無表情になり今度は振り返らずに歩き去る。
強くて変な男だと思っていたが、不敵に笑った顔を好きになれた気がした。
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