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柚の樹と螢

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pixivに載せていた嘘/喰/い同人二次創作作品置き場 不定期に増えます よくツイッターで呟いていた妄想を書いております
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すれ違い行進曲の続きで、無自覚おしおしな巳虎に困っている弥鱈


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「弥鱈。その万年筆どこで買ったんだ?」

インクを入れたばかりの万年筆の書き心地を確かめていると、頭上から最近聞きなれた声が聞こえてきた。
視線を少しだけ上に向けると、思っていた通りの人、巳虎が弥鱈の万年筆を見ている。

「……父に貰いました」
「へぇ。いいなそれ」
「欲しいんですか?」
「いや。お前にとって大事なモンだろうし、自分のあるからいらねぇよ。お前字がキレイだけど細いな」
「はぁ」

弥鱈は思った。
最近、巳虎が自分の傍にいるような気がする。
気がする、というよりは確実に傍にいる。

ストーカーのように監視されて常に傍にいられているわけじゃない、気づいたら傍にいる。
それがあまりにも自然すぎて、不快に思ったことはないが今まで黒服達との行動以外で1人でいる事が多かった弥鱈は戸惑った。
先日自分の事を気になっている、とは聞いたがそれで話しかけてきているのか、それともたまたまなのか、全く見当がつかない。

そんな弥鱈の気持ちを知ってか知らずか、巳虎は弥鱈に話しかける。
先日までは挨拶位しか会話したことがなかったのに、今では友人に話しかけるように気さくに声をかけてくる。

「巳虎さん、なぜ私に声をかけるんですか?」
「何故って……理由必要なのか?」
「ここ最近私に話しかけることが多いと気になったので。世間話なら門倉立会人や目蒲立会人の方が共通の話題を持っていますよ」

今までこうして友好的に接しようとする人がいなかったせいか、弥鱈は自分のペースを崩されているような気がして仕方がない。
しかし巳虎はあっけからんとした様子で

「俺はお前の事を知りたいから話しているわけで、門倉とか目蒲とかじゃお前の事知れないだろ?」

と返した。
その答えに思わず巳虎と目を合わせてしまい「お前人と目を合わす事あるんだな」と笑われた。

「……私を理解したとしても何の利点はありませんので知る必要は無いと思います」
「利点があるないじゃねぇよ。自分がそいつと仲良くなりてぇかどうかだろ?人間関係全部利益で考えたら疲れるっての」
「仲良くなると言う事は相手を理解し合う事だと思いますが、私は巳虎さんに理解してもらいたいことはありませんし、巳虎さんの事を理解したいと思ったことが無いのでこういったやり取りは無意味だと思います」
「お前仕事以外では興味ないもんなぁ」

突き放して言っているはずなのに全く効いていない。
いつもの巳虎なら怒るはずなのに、と思った時に

(……何で私はわざわざこうして返事をしているんだ?)

いつもの自分らしく無視すればいいだけだったのに、わざと嫌われるように放った言葉が引っ掛かる。
考えてみれば考えてみる程、グチャグチャになって自分の気持ちが分からなくなってきた。

「……とにかく、もう関わろうとしないでください。迷惑です」
「んなつれない事言うなよ。それとよ、この前飲みに行けなかっただろ?今度いつ暇だよ?」
「…………お願いですから、ほっといてください」
「うるせ、俺はお前と酒飲みたいんだよ。今度の休日空けとけよ」
「……はぁ~、分かりましたよ。善処しておきますがどうなるかはわかりません」

これ以上突っぱねても意味が無いと弥鱈が折れた。
空けとけと言っても適当な理由を言って断る事だって可能だ。
そう思っていたが

「サンキュ。楽しみにしてるぞ」

嬉しそうに笑う巳虎を見て、その考えを撤回すべきかの選択が浮かんだ弥鱈は、いつもの自分らしくないと頭が痛くなった。
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撻器さんと長の組み合わせが大好物な腐女子です
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