柚の樹と螢
柚の樹と螢
pixivに載せていた嘘/喰/い同人二次創作作品置き場
不定期に増えます
よくツイッターで呟いていた妄想を書いております
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「……あっけないもんだね。あれ程あたし達を苦戦させたのに、たった10秒で決着だよ」
「……あぁ」
目の前にあるのは血だまり。
ほんの10秒前までは無かったそれは、號奪戦の本質を教えてくれているもののようだ、と2人は思う。
「なぜ、あの男は負けたと思う?」
ふいに、花が長に聞いた。
力は互角、いや撻器の方が上にも見えていた。
が、結果は夜行が勝ち、撻器は頸動脈を切られ、生きるか死ぬかの状態だ。
しかし、恐らくは……
「……あの男、切間撻器は油断をしていた。そして優しすぎた。それだけだ」
「何だって?」
「切間撻器は優しすぎただけだ」
視線は血だまりのまま、長は言葉を続ける。
「恐らく、実力は切間の方が上だった。あの車内の中でしか体感していなかった事と、私は夜行妃古壱と闘った訳ではないから確実な事は言えないがな」
「あたしもそうは思ったよ」
「本気で殺し合えば、切間が勝ち、夜行は死んでいただろう。しかし、あの男は殺す気が無かったのだろうな。本人も言っていたが、頭部を狙わず体しか攻撃をしていなかった」
頭部の攻撃さえしていれば、即死の危険性もあるが、それをやらなかった。
蘇生を可能にさせるべく、あえて体しか狙わなかった。
「嫌悪感を持っていたとしても、奴は夜行を殺したくなかったのだろう。自分が気に入っている男だっただろうからな」
「それも死んだら意味が無いけどね」
「だからそれは油断していた事だ。折れた骨で頸動脈を切るとは思っていなかったのだろう」
「なるほどねぇ……」
「……優しすぎる男だ。だからこそ、魅かれるものがあったのだろうけどな」
敵である自分達に対してもそうだ。
確かに力はあり、人材としては魅力的だろう。
しかし大人しく従うつもりはないと分かっているくせに、賭郎に引き入れる事を考えた男だ。
あのまま戦っていれば、もしかしたら自分達が死ぬ事を分かっていてあえてそうしたのか、今となっては当の本人はいないので分からないが。
「行こうか鷹さん。これからまた忙しくなる」
「そうだね」
これ以上ここにいても意味がない。
これからは暗謀に組み込まれてややこしい事になるのだろう。
「お前のお陰で救われた命は、精いっぱい使ってやるさ」
せめて、あの男が羨ましがるくらい生きてやろうと、呟いた。
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