柚の樹と螢
柚の樹と螢
pixivに載せていた嘘/喰/い同人二次創作作品置き場
不定期に増えます
よくツイッターで呟いていた妄想を書いております
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お題ったー系のをやって出たのと前に言っていたイメージで長撻長書いてみましたので何か不思議な話、そして短い
相手が譲れないのは知っているし自分も譲る気が無いのは分かってもらっている、だから好きだしだから辛い
相手が譲れないのは知っているし自分も譲る気が無いのは分かってもらっている、だから好きだしだから辛い
「こっちはいつも通り楽しい世界だ」
「それは良かったな」
背中合わせに椅子に腰かけている2人は、指を絡めた手が離れないようにか、その上に真っ赤なリボンで結ばれている。
「匠の方はどうなんだ?」
「いつも通りだ。バカが現れて捕まえたり密葬したり。まぁ仲間がいて楽しいが」
「そうか。楽しいのなら何よりだ」
「あぁ」
2人は顔を見合わせようともしない。
ただ目の前にある世界を知らせているだけだ。
振り返れば相手の見ている世界が見えるのに、目の前の世界しか見ようとしない。
「撻器」
「何だ?」
「いい加減に振り向いたらどうなんだ?」
「……ぐはっ、珍しいな、匠からそれを提案するなんて。俺の顔を見たくなったのか?」
「そうとも言える。そろそろこんな関係を辞めにしないか?」
わざわざ縛り付けあって相手が消えないようにとするなんてバカらしい、と匠はその手を揺らす。
「仕方がないだろう。お互いに顔を見る事が出来ないんだから」
「……こんなに傍にいるのにな」
後ろへ頭を倒せばこつん、と撻器の頭に触れる。
「俺達が選んだ答えだ」
「そうだな」
「お互いに納得している」
「そうだな」
「でも、結果はこうだ」
「……そうだな」
撻器は苦笑を浮かべる。
匠は黙って目を閉じる。
「それでも」
「それでも?」
「それでも、撻器が傍にいてくれると分かっているだけでも安心する」
「……もしかしたら偽者と入れ替わっているかもしれないのに?」
「私がお前を間違えるわけない」
「ぐはっ」
「なぁ、撻器。いい加減に抱きしめたいからこちらを向いてくれないか?」
「それはこっちのセリフだ。いい加減振り返れ」
嫌だ、俺も、と言い合って、困ったように笑う。
「幸せか不幸か分からないな」
「そうだな、でも」
手を握りしめる力が強くなる。
「傍にいるならきっと幸せに違いない」
たとえ相手の世界を受け入れないとしても、世界の中心に2人ぼっちでいられるのなら。
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