柚の樹と螢
柚の樹と螢
pixivに載せていた嘘/喰/い同人二次創作作品置き場
不定期に増えます
よくツイッターで呟いていた妄想を書いております
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「ハル……もっ、無理……!!」
「……貘さん、ギブアップするのには早すぎるよ」
「ハルが速過ぎるだけ、だから」
「このくらい普通だよ」
「いいから、お願い、だから、ちょっと、ペース落として、っ」
「……仕方がない」
ハルが止まれば貘はゆっくりと深呼吸する。
「この位の人ごみを歩くだけで息が切れる人、初めて見た。僕が手をつないでいなかったら人ごみに流されていたね」
「そこまでひ弱じゃないよ。ハルが歩くの速過ぎて小走りになったせいだって」
自分より少しだけ背が高くて大人っぽいその人は、自分よりもか弱い。
「あー……疲れた」
ホテルに戻った貘は、疲れきった表情を浮かべたままソファに寝転がる。
柔らかなソファに備え付けられているクッションに頭を乗せると、緩慢な動きで上着を脱ぎ捨てる。
そんな貘の行動に、ハルは背もたれに肘を乗せると呆れたように見下ろした。
「寝るならベッドにしなよ。ソファじゃ疲れ取れないよ?」
「んー」
「んー、じゃなくて。この前もソファで寝て体が痛いって言っていたの貘さんだよ」
「疲れた、動きたくない」
「まったく……」
正面に回ると、貘の背中と膝の裏に手をいれ、短く息を吐いて持ち上げる。
よろける事無く歩けば夢うつつな貘がハルを見上げる。
「ハルは力もちだねぇ……」
「貘さんが軽いだけ。もっと食べなよ」
「軽いなんて失礼な。腹筋は割れているからムッキムキだよ」
「その割には体力ないよね」
「体力と筋力は関係ありませーん」
「そんなことないと思うけど」
ベッドに寝かせてやればありがと、と小さなお礼の言葉。
「今度からは自分で動いてね」
「やーだ。ハルに甘えられないじゃん」
「……僕がいなかったらどうしようもない人になっちゃうよ?」
「いーの。ハルがいなかったらつまんないじゃん。ハルにべったり甘えて離れないようにしてやる」
「困った人だね貘さん。……僕のお嫁さんになって離れないって誓い合う?」
子供のような提案に、悪くないね、と貘は笑った。
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