柚の樹と螢
柚の樹と螢
pixivに載せていた嘘/喰/い同人二次創作作品置き場
不定期に増えます
よくツイッターで呟いていた妄想を書いております
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「……で、あんたは何でそんな傷だらけになっても放っているんだい?」
いつものようにただ飯を食べに来た伽羅のケガを見て、花は一度料理を引っ込める。
「うるせぇよ。腹減ってんだから早く食わせろ」
「バカ言ってんじゃないよ。ケガを舐めてると化膿するに決まってんだろ。ほら、見せな」
「後で治せばいいだろ、今は飯だ」
「金も払っていないガキが言うセリフじゃないよ」
そう言って花は伽羅を無理やり立たせると、そのまま店の奥へと引きずっていく。
救急セットを取り出し、丁寧に消毒を施していく。
「ったく、世話かかる」
「テメェが勝手にやってるだけだろ」
「こんな血まみれのガキをそのまま放っておけるわけないでしょうが」
幸い深い傷はないので、すぐに治療は終わった。
包帯をしまいながら花は伽羅に言い聞かせる。
「あたしの店で飯を食いたいのなら、その口の利き方と態度を直しな。躾のなってないガキに食わせる飯なんてないよ」
「うるせぇな……俺は俺だ」
「せめて食べる前に『いただきます』食べ終わったら「ご馳走様」位は言いなさい。きちんと手を合わせて、だよ」
どうせそのまま黙って食い始めるだろう、と花は思いつつも料理を差し出す。
しかし伽羅は少し料理を眺めると、手を合わせた。
「…………いただきます」
「できるんじゃないか」
「舐めんなよババァ」
吐き捨てるように言うと、そのまま料理にありつく。
腹が減るまでずっと闘っていたであろう伽羅に、本当に面倒なガキだね、と花は呟いた。
「……ごちそうさま」
食べ終わった後もきちんと手を合わせて言うと、花は満足そうに笑う。
「案外素直じゃないか」
「どうせ言わなかったら今度から飯を出さないんだろ?」
「あぁ、分かっていたからか」
「そうじゃなかったとしても、飯にありつける事くらい感謝できる」
「だったら何で今までやらなかったんだい?」
「……別にいいだろ」
「あたしが教えたからい?」
「……」
伽羅は黙って席を立つと、何も言わずに歩き去る。
そんな伽羅に花は声をかけた。
「おい、ガキ!!」
「何だよババァ?」
「明日にでもまた来な。そんなボロボロな服も見苦しいから、何か用意してやるよ」
「……飯食いになら来てやるけど、んな世話なんか必要ねぇよ」
「だから、金を払ってから偉そうな口をききな」
「うるせぇ」
相変わらず生意気で言う事を聞かない、どうしようもないクソガキだが、明日は何を作ってやってどんな服を渡してやろうかと花は笑いながら見送った。
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