柚の樹と螢
柚の樹と螢
pixivに載せていた嘘/喰/い同人二次創作作品置き場
不定期に増えます
よくツイッターで呟いていた妄想を書いております
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あの人が選んだ人だけど、彼の事を認めたくない
「……何ですか?僕の事が気に食わないからって消えてもらいたいって」
今朝から物騒な事を言った創一に対して、梶は眉根を寄せる。
創一はふだんの鉄面皮を崩すことなくコーヒーを飲んでいた。
「貘さんの隣にいるのには君はふさわしくないって事」
「そんなの貘さんが決める事であってあなたが決める事じゃない。だいたい、敵であるあなたに何でそんな事を言われなくちゃいけないんですか?」
普段は温厚な梶でも、敵意をむき出しにして創一に言いかかる。
自分の言葉を素直に従わないのが不満なのか、少しだけ嫌悪を見せた。
「正直な話を言わせてもらうと、貘さんの隣に君がいるのを見ているのは不愉快」
「それは自分の都合じゃないですか。僕には関係ありません」
「人を不愉快にさせることはやめるべきじゃない?」
「その言葉、そっくりそのままあなたに返します」
しばらく無言でにらみ合うと、席を立ち会計を済ませる。
そして外に出て
「「貘さんに白黒はっきりつけてもらおう」」
しかしホテルには誰もおらず、『マルコと出かけてくるね』と書置きが残されていた。
「君だけ置いてけぼりだね」
「あなたが呼び出さなければこうなりませんでした」
棘がある言葉で話しつつ、一応の客人にコーヒーを差し出す。
ありがとう、とお礼を言われ梶は目を丸くさせた。
「……何?その顔?」
「いや、お礼を言えるんだ、って思って……」
「何それ。馬鹿にしてるの?」
「別にそんなわけじゃ……」
クッキーもあったかな、と思い探してみると、飴とかり梅しかなかった。
「すいませんコーヒーだけで」
「別にいいよ。それにしても淹れるの上手なんだね」
「え?」
「インスタントだろうけど、変な苦みがない。おいしい」
「あ、ありがとうございます」
コーヒーを淹れるのが上手くなった夜行から「梶様もよろしければ」と教えてもらったが、褒められたのは初めてだ。
嬉しそうに顔を崩すと、創一はじっとその顔を見つめた。
「……あぁ、なるほどね」
「?」
「君のそういうところに貘さんが惹かれたんだってわかったよ」
「そういうところ?」
「そうやって顔がコロコロ変わるところ。なかなか見ていて面白い」
コーヒーカップを置き、梶の顔を撫でる。
嫌悪感をむき出しにされると思ったが、その顔は紅潮してまるで女のようだ。
「……僕も、あなたに貘さんが惹かれた理由がわかった気がします」
「ん?どんなところ?」
「そうやって変に色気があるところですよ……」
「そう?」
「と、とにかく離れてください」
「え~……どうしようかなぁ」
貘の隣にいる目障りな奴だと思ったが、こうからかってみるとなかなか面白い。
「ねぇ、梶隆臣」
「な、何ですか?」
「ここで僕とキスして、その間に貘さんが帰ってきたら面白いことになると思わない?」
これは賭け
勝てばきっと貘と梶の絆にわずかな傷をつけられる
負けても梶に自分の存在を縛り付けることができる
驚愕している梶に対して、創一はその唇にかみついた。
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