柚の樹と螢
柚の樹と螢
pixivに載せていた嘘/喰/い同人二次創作作品置き場
不定期に増えます
よくツイッターで呟いていた妄想を書いております
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『仕事は慣れた?』
たったそれだけの、素っ気ないメールだが銅寺は送信ボタンを押す。
少しすれば受信を告げる電子音が流れた。
『それなりには。銅寺は相変わらず忙しいのか?』
返ってきたメールも少し素っ気ないが、銅寺は淡く笑みを浮かべてキーボードを打つ。
『今日は休みなんだ』
『そうか、それはいいな』
『ロバートはいつ頃休みになるの?』
『まだ分からない。今の仕事が落ち着いてからだろうからしばらくかかる』
『そっか。今はどこに?』
短く淡々としたメールのやり取りを行う。
互いの近況報告をしていると、ロバートKから返事が途切れた。
仕事に取り掛かっているのだろう、とメールBOXを消して銅寺は大きく伸びをする。
そのままパソコンの電源を落とそうかとするが
「……」
数秒考え込み、またメールBOXを開く。
メールの作成をクリックし、少し悩みながらもキーボードを打つ。
『会いたい』
送信先は、ロバートK
そのまま送信ボタンへとカーソルを動かし……
「……駄目駄目。こんなの適度じゃない」
文章を削除すると『仕事がんばれ』と打ち直して送信する。
するとすぐに返事が返ってきた。
仕事をしているんじゃないのか、と驚きつつ届いたメールを見てみると
『会いたいと送ってくれないのか?後ろを見てみろ』
「!?」
驚いて振り返ると、ロバートKが淡く微笑んで立っていた。
「い、いつから……?」
「君がうんうん唸りながら会いたいってメールを作ってくれたところからだ。そのまま送ってくれると思ったのに。そして背後をとられるなんて君らしくないな」
「まぁ、その……」
言葉を濁す同時に、ロバートKは吹き出した。
「適度をモットーとする君がこんな姿を見せてくれるとは思わなかった」
「うるさいなぁ。こっちは意外と真剣に悩んでいたっていうのに」
「適度以上な事をしようと真剣に悩んでくれるのは、私にだけかな?」
「…………そうなる、と思う」
「それは光栄だな。……それでひとつお願いがあるんだ」
少しだけ緊張気味のロバートKに対して銅寺も思わず座り直した。
「何?」
「我々は多分同じことを考えている。私がここに来たのもその為だ。しかし、まだ互いの事をよく理解していないからあまり早急に答えを出すのはいけないと思う。だからこそこれは互いの距離を近づける手段の一つとしてのお願いなんだが……」
「そんな回りくどく言わなくていいよ。お願いって言うのは?」
緊張しているせいか、深呼吸を一度してからロバートKは銅寺にお願いを言う。
「……晴明、と呼んでもいいかな?」
その言葉に、銅寺は少しだけ目を丸くさせる。
そして何だ、そんな事かと笑った。
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