柚の樹と螢
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pixivに載せていた嘘/喰/い同人二次創作作品置き場
不定期に増えます
よくツイッターで呟いていた妄想を書いております
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ぽんちゃんと第2回長撻長オフ会にて「雨の日の話書いてください!!」って言われて「やるぜイエイ!!」ってなったのがすべての犯行原因です
これはシリアスですが、後程ギャグな雨の日ネタを書きたいと思っています。
これはシリアスですが、後程ギャグな雨の日ネタを書きたいと思っています。
少しだけ騒がしい音に匠が目を覚ますと、いつもより暗い室内にため息を吐いた。
気だるい様子で上半身を起こし、カーテンを開くと窓ガラスに雨水が伝い流れている。
「雨か」
動く気配に気づいたのか、それとも起きていたのか。
隣で寝ていた撻器が匠に問いかけ、あぁ、と匠が小さく答えた。
「久し振りに降ったんじゃないのか?」
「そうだな。これから仕事があると言うのに……」
「ぐはっ、俺はこのままゆっくり寝かせてもらうぞ。昨夜は匠が寝かせてくれなかったしな」
「誘ってきたのは撻器だろ。こっちは仕事があるから断った」
「でも俺の事を抱いたのは匠だ」
「……はぁ」
これ以上話しても仕方がない、と言わんばかりにため息を吐くと、ゆっくりと着替え始めた。
撻器はその様子を頬杖をつきながら眺めている。
「なぁ、匠は雨が嫌いか?」
ふいに、撻器がそんな質問をしてきた。
シャツのボタンをとめていた手を一瞬止めると、すぐに答える。
「嫌いだ」
「何で?」
「雨音はうるさいし濡れるのも鬱陶しい。湿気で汗ばむのも嫌いだ」
「ぐはっ、それはあるな」
「撻器はどうなんだ?」
「別段嫌いじゃない。まぁ、雨音のせいで匠の声が聞こえにくいのは少し嫌だが」
「雨音で聞こえなくなるほど私の声は小さくない。……まぁ、お前の声が少しでも小さくなるならたまには雨も悪くないかもな」
「そんな事言うな!!そしたら雨の日は大声で喋ってやる」
「どちらにしろうるさいからやめろ」
「……」
1人残された部屋で、匠はぼんやりと窓の外を眺めていた。
よく晴れた青空が広がり暖かな日差しが部屋の中へと差し込む。
「……墓がどこにあるかも分からないとは酷い話だな」
呟いた声に返してくれる声が無い。
ふと、足元を見ると水滴が1つ、2つと落ちていく。
匠は落ちていく透明な雫を見て、また小さく呟いた。
「だから雨は嫌いなんだ」
雨のせいで、お前の声が聞こえないじゃないか
そんな事を言えば、きっと笑って返してくれる気がした。
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