柚の樹と螢
柚の樹と螢
pixivに載せていた嘘/喰/い同人二次創作作品置き場
不定期に増えます
よくツイッターで呟いていた妄想を書いております
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
門倉が煙草を一本取り出し火をつけると箱を握り潰す。
煙草税があがり、禁煙スペースが増えつつあるこの世の中は喫煙者の肩身が狭いな、と思いながら喫煙所で美味そうに吸っていた。
ドアが開く音がしてそちらへ視線を向けると、南方が入って来た。
自分の事でも捜していたのかと思うが
「煙草一本いいか?」
「……何じゃ、止めたんと違うんか?」
煙草を求められて少し驚く。
昔は吸っていたらしいが今は止めている、と本人の口から聞いた。
異例の出世として警視正に身を置いている南方は、身なり云々の為に禁煙をしたと言っていたはずだ。
「少し吸いたくなってな」
「あー……持ってたのはこれで終いじゃ」
「そうか」
「お前も煙草かったらいいじゃろ。そこに自販機がある」
「一箱もいらん」
「はっ、残念じゃったの。まぁ煙くらいならやっちゃるわ」
紫煙を南方へ吐き出す。
息苦しいのか、手で振り払うように扇ぐと顔をしかめた。
「おい、門倉」
「煙だけでもありがたく思え」
「煙なんかいらんわ。欲しいのは煙草だ」
「じゃから買えって。残った分はワシがもらってやるわ」
「……あ」
「ん?」
「煙草なんて簡単に味わえる方法あったな」
「言っとくがこれは渡さんぞ?お前と間接キスなんて考えたくない」
「はっ、そんな吸いかけには興味ないわ」
「じゃぁどうやっ……」
目の前が暗くなり、吸いかけの煙草が滑り落ちる。
そして生温かく柔らかいものが、まるで生き物のように口内を蹂躙する。
その時門倉は南方にキスされていると理解した。
すぐに突き飛ばすが、南方は満足そうだ。
「苦いな。あんまり吸い過ぎると腹だけじゃなく肺も真っ黒だぞ?……って、手遅れか」
「お前なぁ……!!」
「ごちそーさん」
門倉が投げた灰皿をひらりと避けると、さっさと喫煙所から出る。
残された門倉は唇を必要以上に擦る。
「あんのバカ……!!」
今度会ったら殺してやると、低く唸る。
いやに頬と唇が熱く感じた。
PR
アホの子課長と撻器さんと蚊 << | HOME | >> アホの子課長と水たまり |
プロフィール
カテゴリー
P R