柚の樹と螢
柚の樹と螢
pixivに載せていた嘘/喰/い同人二次創作作品置き場
不定期に増えます
よくツイッターで呟いていた妄想を書いております
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夏
それは蚊が「ヒャッハー!!元気なベイビーを産むために血を吸うぜぇぇぇえええ!!!!」と飛び回るのが活性化している時季である。
そして、某所にてそんな蚊に悩まされている男が2人いた。
1人は言わずと知れた密葬課課長、真鍋匠
もう1人は賭郎零號立会人、切間撻器
「そっちに行ったぞ撻器!!」
「任せろ!!」
2人は飛んでいる蚊を仕留めようと先程から奮闘している。
タイヤ靴で距離を縮めてそのまま叩き潰そうとするが、どうやら逃してしまったようだ。
目の前に蚊が飛んでた蚊を見て、匠はその身を少しのけぞらせた。
「うわぁあっ、意外とでかい!!撻器早く仕留めろっ!!」
その手には卵……匠にとっては飛び道具になるホビロンが握られている。
「分かったからそのホビロン仕舞え!」
数分後には倒せたのか、疲れ切った様子の2人がソファに座っていた。
「夏は蚊が多くて困るな」
未だ警戒しているのかそれとも食事がしたいのか、匠の手にはホビロンが握られたままだ。
「確かにな。痛むからホビロンしまえって」
「今食べるから大丈夫」
できれば自分がいる前では食べてほしくないのだが、お構いなしに卵の上部の殻だけを取り除くと自分の口へと落とす。
「……ゲプッ」
(卵食いながら蚊にくわれてる…)
匠の右頬に蚊が止まったのを見かけた。
叩いてやろうかと思ったが、万が一逃した場合ホビロンを食べようとした邪魔をした、と激怒されこの室内が戦場になる。
悪いな匠、と思いながら撻器は3回ほど蚊に刺されている様子を見ている事しかできなかった。
「かゆい」
「ほら、ムヒ塗ってあげるから見せてみろ」
やはり蚊にさされたようで、匠は痒い痒いと言いながら自分の頬を引っ掻いていた。
体も刺されたようで、先程から引っ掻く手が止まらない。
少しした罪悪感を持ちながら撻器はムヒの蓋を開ける。
「背中頼む」
「背中だな。少し服を脱げ。他の場所かいちゃ駄目だぞ」
「分かった」
撻器に背中を向けてシャツを脱ぐ。
着やせするタイプなのか、体が薄い方だと思っていたその肉体は鍛えられており、古傷が何か所か目立っていた。
「どこら辺が痒いんだ?」
「左側だ。腰の近く」
「……別に背中刺されてないぞ」
全体を念の為確認したが 赤くなっているのは引っ掻いた時にできた跡くらいで虫刺されはない。
「でも痒い……何かさっきから全身が痒い」
「あー確かに蚊に刺されたらそうなるけどもーああもうかくなよ!傷つくぞ!」
我慢できなかったのか、虫に刺されてしまった腕を引っ掻く。
「こら!!駄目だって」
慌てて手を掴み止めるが、すでに掻き毟ったせいで血が少しだけ滲んでしまっている。
他の箇所も同じようになっているので、ムヒを塗ればただ痛みが走るだけだ。
「うぅ……痒いしヒリヒリする」
「あらら……血が滲んでる。引っ掻いちゃダメだって言っただろう?」
「私が悪いわけじゃない……蚊のせいだ、あいつらが悪い」
あいつ等が血を吸わなければこんな思いしなくて済んだのに、とブツブツ文句を言う匠に撻器は苦笑を浮かべた。
「今日は蚊取り線香と蚊帳使って寝ようか。俺の家に来るか?」
蚊帳があるから恐らく大丈夫だ、と言った撻器に匠は嫌そうな顔を浮かべた。
「撻器のとこで寝るのヤダ。オマエのとこの息子の写真が所狭しとあってヤダ怖い」
前に一度案内された時に「創一の成長記録だ!!」と写真が飾られていて恐怖を感じたのを思い出す。
息子を溺愛しているのはいいことだが限度がある。
それを言ったら匠のホビロン摂取も限度があるが。
「えーでも匠のとこもなぁ……冷蔵庫がなぁ……」
「ホビロンの何が悪い」
「俺が食べられるものがないじゃないか」
「……それもそうだな。しかたがない、お前の家の客室で寝るか」
「蚊帳を設置しておくよう連絡するから、お泊まりセットの準備をして来い。迎えに行くから待っていてくれよ」
「分かった。……お泊りセットどこにしまったか覚えているか?」
「いや、ごめん知らない」
もしも知っている方がおかしい。
その夜
敷布団が2つ敷かれている客間にて撻器と匠は寝入っていた。
蚊帳のあるおかげだろうか、耳元で蚊が飛んでくることも、刺される事もなく安眠しているようだ。
しかし、接着剤によってつけられたフックが1つ取れた。
そのまま連鎖するように次から次へとフックが取れ、そのまま蚊帳が潰れる。
重いものではないのでケガはしていないが、顔にかかってきた蚊帳に2人は驚き這い出る。
そして、潰れてしまった蚊帳を見て
「「蚊帳がぁああああああああああぁぁぁぁああぁあ!!」」
と、仲良く叫んだ。
おまけ
「何であんな倒れるような設置にしたんだ判事!!」
「仕事がまだ残ってたんだよ(申し訳ありません、早急に終わらせなければいけない仕事があったので)」
「蚊帳……」
「おい!本音と建前が逆になってるぞ!」
「そうでしたか」
「あ、また刺されちゃった……痒い」
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