柚の樹と螢
柚の樹と螢
pixivに載せていた嘘/喰/い同人二次創作作品置き場
不定期に増えます
よくツイッターで呟いていた妄想を書いております
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「海に行きたい」
「どうしたのハル」
唐突に言いだしたハルの言葉に貘は首をかしげる。
「何となく、かな」
「何となくって。まぁたまにそういう時もあるけど季節外れだよ」
こんな寒い日に海なんて、と貘は笑う。
しかしどうしても行きたいのか、ハルが防寒着を着込み始める様子を見て慌てて引き留めた。
「海に行きたいって言っても、ここからだと遠いよ?」
「それでも行きたい」
「無性に行きたいの?」
「うん」
「そっか。なら簡単に行ける方法がある」
携帯を取り出して誰かに連絡を入れている。
どうやら自分の護衛の誰かだろう、車の手配、と言葉が聞こえた。
「……うん。着いたら連絡してね。じゃぁね」
電話を切り、ハルに笑いかける。
「行けるよ、海」
「……やった」
「……海じゃない」
ハルは不満そうに唇を尖らせた。
「海に似たような物でしょ。ほら、あっちにサメがいる」
貘は楽しそうに水槽越しにいる魚の群れを見ている。
2人が着いたのは水族館だった。
首を傾げていたハルに「海の生物がいるから海みたいなものでしょ?」と貘が飄々と言ってのけ、そのまま2人で眺めている。
「こんな人工的なもの違うよ」
「今からだと寒いし遠いから後で行こうよ」
「後で行こうよっていつ?夏?」
「そうだねぇ。その時はきっちり日光対策しないと」
「……それまで、僕は貘さんと一緒にいられるって約束できるの?」
今までの蜂名直器とは全くの別物だが、それでも自分はいずれ切間創一として戻らなければいけない。
それが明日なのか、それとも1年後なのか、自身でも分からないが、いつまでも貘の傍にいられない事だけは理解していた。
「ん?まぁ、一緒にいられるって約束はできないね」
「だったらあんまり無責任な事言わないでよ」
「でも、一緒にいられないとしても、いつかまた会って海に行くって約束はできる」
だからさ、今日は2人で水族館を楽しもうよ
立ち上がった貘がハルに手を差し伸べる。
「……約束、守ってね。それと今日はエスコートしてね」
淡い笑みを浮かべ、その手を取った。
蜂名は海を眺めていた。
先程まで激しい戦いをしていたのが嘘だったかのように、静かに波打つ。
「……僕は」
腿にできた傷からは未だに出血が止まらない。
しかしそれを気にしている様子はなく、何かを見つけ出そうとするように目を細めて眺めていた。
「誰かと約束したんだっけ?」
しばらく蜂名は海を眺め……いつもの無表情に戻った。
胸に何か重いしこりのようなものが残るが、すぐにその思考を切り捨てる。
「……どうでもいいか。今はそんな事」
嘘喰い、斑目貘
アイデアル
賭郎の脅威になっているその2つを排除させる事が優先だ。
これからどうやって排除させようかと思考を巡らし、そして歩き出した。
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