柚の樹と螢
柚の樹と螢
pixivに載せていた嘘/喰/い同人二次創作作品置き場
不定期に増えます
よくツイッターで呟いていた妄想を書いております
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上り詰めた地位から落ちる
今まで手に入れていたものが離れる
「……ははっ」
それでも安心して、俺は砂上の城から堕ちる
迎えにきてー、と力ない声で連絡が届いたので言われた酒場に行けば、できあがっているのかテーブルに突っ伏している貘の姿があった。
面倒だ、と思いながら伽羅は貘の元へ向かう。
「立てるか?」
「……んー。歩ける」
「肩貸してやるからあるけ」
「……はーい」
黒服に支払っておくよう命ずると、貘の肩に手を回し歩きだす。
体格差があり不格好なので担いでいこうかと思ったが、このままがいい、と貘が言ったので特に気にせず歩く。
「車に乗る前にさ、もうちょっとこの辺歩いていい?酔いを醒ましたいんだよね」
「さっさと醒ませよ」
だいぶ回復したのか、少しふらつく程度になった貘はありがと、と言って肩に回していた手を解いた。
「あー……伽羅さんのお陰で助かったよ。ありがとう」
「お前の専属立会人だからしかたがなくだ」
「そう言っちゃって。伽羅さんはこれからも絶対に俺を裏切らないだろうし、俺に協力してくれるだろうね」
「お前が会員でいる以上は、そう簡単に裏切ることはねぇだろうな」
「専属立会人なのもそうだけど、その後も」
「バカな事を言うな。何でお前みたいなクソガキを一生面倒見ていなきゃいけないんだよ」
「魅せられたから、かな?」
「……酔っぱらい過ぎだバカ」
「いでっ」
頭を小突かれた貘は痛いなぁ、と頭をさすりながら笑う。
その顔は普段よりも紅潮しているのと、笑顔にしまりがなかった。
「でも、間違いないと思うよ」
自信満々に貘は言う。
その目に宿る光はいつもと変わわない。
「多分、あんたは俺以外の人の専属になったとしても、何の魅力を感じない、つまらない仕事ばっかりになると思うよぉ?だから伽羅さんはきっと俺の事を、俺の人生にずっとついて行こうとするよ」
「ガキの妄想はいい加減にしろ。お前に魅了されるわけないだろ」
「自覚してないだけか、俺の勘違いかもね。でも、簡単には離れないよ」
「お前の能力を考えればそうだろうな」
「違う違う。そうじゃなくて。俺は賭郎から離れる事があったとしても、伽羅さんから離れる事が無いって事」
「何を根拠に言っているんだ」
「俺が伽羅さんに魅了されたから」
冗談なのか本気なのか分からない、へにゃりと力ない笑みを浮かべる。
「俺は伽羅さんに魅了されて、伽羅さんから離れたくないって思った。だからきっと俺は伽羅さんの事を忘れないだろうしこの絆を離す気はないよ」
「いい迷惑だ」
「何でー!!自分を慕ってくれているって喜んでくれてもいいじゃんか」
「お前なんかにまとわりつかれたらいい迷惑だ」
「そうかな?伽羅さんみたいに強すぎる人は、俺みたいにか弱くてでも興味がある奴が傍にいた方がいいよ」
俺にとっては護衛になってお互い利害一致!!と貘は1人納得したように頷く。
「……」
「だーかーら!!そんな顔しないでよ!!」
「酔っぱらいのガキの言葉なんざバカくさいんだよ」
ただの重りになるような奴なんていらねぇよ、と伽羅が言う。
「俺は伽羅さんの重りになるつもりはないよ、きっと俺達は共存できるよ」
だって俺達バランスいいでしょ?
貘の言葉に、伽羅はただ黙って再度頭を小突いた。
崩れる崩れる
跡形もなく崩れ落ちる
このまま自分も堕ちて二度と浮かび上がらなくなるのだろうか
「……ははっ、やっぱり」
全てを失ってまた0からのスタートだと思ったのに、この手を離さないのはだぁれ?
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