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柚の樹と螢

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pixivに載せていた嘘/喰/い同人二次創作作品置き場 不定期に増えます よくツイッターで呟いていた妄想を書いております
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むしゃくしゃしたからリクエストを受けました記念で、匠成織さんリクエストの貘ハルです。
ちょこっとだけ甘い程度でどっちかというと+に近い話かと



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「ハルは恋人を作った事がある?」
「……いないけど、急にどうしたの?」

貘からマグカップを受け取り首を傾げた。
淹れられたラテアートが施されているそれをスプーンでかき混ぜ一口飲み込めば、ほろ苦さと甘さが口の中に広がる。

「これ」

貘が取り出したのは、どこにでも売ってる雑誌だ。
その表紙には可愛らしい文字で【恋人特集】と書かれてあった。

「何それ」
「恋人特集。恋人と一緒に行きたいデートスポットとかカップルの馴れ初めとか、色々書かれているよ」
「ふぅん……貘さんはそういうの興味あるんだ」
「見ていると面白いよ。このカップルはすぐ別れそうだなぁ、とかここ行ってみたら面白そうだなぁ、とか」

ハルも読む?と差し出すがハルは受け取る気配がない。

「僕、そういうの興味ないから」
「男の子なら興味持たないと。読んでみなって」
「いいってば」

ほら、と強引に渡された雑誌を仕方がなしにめくり始めた。
文句を言いつつ読んでいるハルを笑顔で貘は見つめている。

「変なのばっかりだね」
「そうかな?これなんて面白いじゃん。キスの味は?ってやつ」
「そんなのを気にしてキスってするの?」
「まぁ、美しい思い出ってやつじゃない?」
「ふぅん……」
「ハルはまだキスの味を知らないの?」
「興味ないからね」
「そうなんだ」

また一口マグカップに口をつける。
少しだけだけ冷めたエスプレッソがちょうど飲みやすい。

「ハール」
「なぁに……」

顔をあげると、貘が眼前に迫っている。
睫毛が長い、とぼんやりハルは思った。










「……ハル」

不満げな貘の声。
2人の間を雑誌が隔てている。

「させるわけないでしょ、貘さんのバカ」
「ちょっとその気にさせたのに」
「ならないよ」

雑誌をのけようとする貘と、それを阻止するハル。

「俺とのキスはしたくないの?」
「そういうわけじゃないけど」
「じゃぁ、何で」
「僕、まだ告白されていないし」

そういう順番、貘さん守れないの?

ハルの言葉に目を丸くし、そして笑う。

「意外と乙女だね」
「それに書かれてあった事を言っただけだよ」
「真面目に読んでいるんだねぇ」
「渡されたら読むよ」
「ハルのそういうところ、好きだよ」

今度はハルが目を丸くさせる。

「……それが恋人になってほしいって告白?」
「うーん、まだハルには順番を教えなきゃいけないかぁ……。まぁいいや。今からどこかでかけようか」

恋人じゃなくてもデートはするものだよ、と貘はハルへと手を差し出した。
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自己紹介:
撻器さんと長の組み合わせが大好物な腐女子です
妄想をいただけると勝手に書いていることもあります

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