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柚の樹と螢

柚の樹と螢

pixivに載せていた嘘/喰/い同人二次創作作品置き場 不定期に増えます よくツイッターで呟いていた妄想を書いております
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梶ちゃんお誕生日おめでとうございます
シリアスになってしまいましたがこれからも梶ちゃんの活躍を楽しみにしている次第でございます


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誕生日
自分がこの世に生を受けた日
産まれてきたことに、感謝する日
自分が幸せだと、実感する日

しかし生への感謝を、幸せの実感を梶隆臣は未だ感じた事が無かった。


毎年誕生日になっても、母は知らない男と共にどこか遠くに行っていた。
自分と同い年の同級生が誕生日になると楽しそうに話しているのを教室の片隅で聞いていた。

プレゼント ケーキ バースデーソング

どれひとつ貰ったことが無い。
皆が当たり前のように貰い、当たり前のように祝福され、当たり前のように愛されているのが、梶にはとても眩しくて、とても羨ましかった。


前に母親に、誕生日を祝ってほしいと言ったことがある。
プレゼントはいらない、ただ一緒にいて、「誕生日おめでとう」と言ってほしい、と頼んだ。
しかし母親は虫けらをみるような目で、梶に煙草の煙を吹き付けると

「何言っているのよ。何であんたを祝わう必要があるわけ?あんたを産んでやった私に感謝しなさいよ」

そう言われて男と共に家を出て行かれた。
取り残された梶は、毛布にくるまり1人で寒い夜を過ごしていた。
この時から、自分は祝福され産まれたのではなく、ただ偶然にも産まれてしまったからこの世に存在する、特に価値のない人間だと、そんな風に思うようになった。


「……はぁ、寒い」

ふと思い出してしまった過去のせいか、目元が少しだけ濡れている。
乱暴に目元を擦ると、枕元に置いたスマホを手探りで取り、時間を確認する。
もうすぐ日付を越える、まだ深夜と言ってもいい時間だ、もう一度寝ようかと思い何となく横を見ると、隣のベッドで寝ていたはずのマルコの姿が見えない。

「マルコ?」

呼びかけるが返事がない。
起きてトイレにでも行っているのかと思ったが、その時は照明をつけているはずだが、今回は消えたままだ(その明かりで梶が時折起きてしまう事があるのだが)
そして、リビングから微かに話し声が聞こえる。
会話の内容は分からないが、紙のようなものが擦れる音も聞こえるような気がする。

「……何かやっているのかな?」

こんな夜中に何をやっているのだろう、と思いドアを開ける。
しかしそのドアはわずか数センチ開けた瞬間、ものすごい力で閉ざされた。

「!?」
「おいくそ負け犬、こっちに入ろうとしてんじゃねぇよ」
「あー!!カジまだ起きちゃダメ!!マルコこっそりがんばったのに!!」
「え?え?」

状況が全く飲み込めず、ただ呆然とドアの前に立っている梶に気づいたのか、ドア越しから貘が声をかける。

「ごめんね梶ちゃん。今こっちの部屋は入っちゃいけないからさ、もうちょっとだけ寝ていてくれない」
「はぁ……」

そうは言われても目はさえてしまっている。
ベッドに寝転がれば少しは眠れるかと思い、もう一度目を閉じた。


「……カジ!!こっち来て!!」
「うわぁ!?」

少し眠気が襲って来た頃、マルコが大きな音を立ててドアを開けたかと思うと、梶の腕を引き無理やり起き上がらせる。
突然の浮遊感に驚き、そしてよろける。

「ど、どうしたのマルコ?」
「いいからこっちよー!!」

歩幅の違いでもつれそうになる足を何とか動かし、マルコに手を引かれるままリビングへと向かう事になる。
一体何事か、と思うとパンッ、と乾いた音
そして火薬の匂い

「……え?」

目を見開くと、貘とマルコ、カールが満面の笑みを浮かべ、伽羅は1人離れた所で椅子に座って梶を睨みつけていた。
リビングは輪飾りが施され、テーブルの上にはケーキが置かれている。

「「「ハッピーバースデー!!」」」
「え……え!?」

時計を見れば日付を越え、自分の誕生日になっている。

「あの、さっきまでやっていたの、って……?」
「そりゃぁもちろん梶ちゃんを祝うためだよー」
「伽羅のおじさんに教えてもらって紙のお花も作ったの!!」
「マルコ!!それは言わねぇって言っただろうが!!」
「まぁまぁ伽羅くん。マイフレンドの誕生日を祝うことを照れなくていいじゃないか」
「そうだよ伽羅さんは素直じゃないんだからー。あ、ケーキは後で食べる?一応形式として置いたけど、今日の夕飯に出し直そうか?」
「美味しいお店を予約したから楽しみにしてくれたまえ」
「伽羅のおじさんと一緒にプレゼント買ったから楽しみにしてね!!」
「だから、言うんじゃねぇ!!」
「あはは」

目の前の光景が信じられない
自分を祝福してくれる人がいる
欲しかったものが、今、やっと自分の目の前にある。

「……ありがとうございます!!」

今までの人生と、貴方達と出会えた事に感謝を


Happy birthday  KAJI!!
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撻器さんと長の組み合わせが大好物な腐女子です
妄想をいただけると勝手に書いていることもあります

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