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柚の樹と螢

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pixivに載せていた嘘/喰/い同人二次創作作品置き場 不定期に増えます よくツイッターで呟いていた妄想を書いております
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幽霊シリーズ5話


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「今日は何時に帰ってくるんだ?」
「さぁな。もしかしたら帰って来れないかもしれない」

靴紐を結びなおしている長の隣に撻器がしゃがみ込むと、無駄な体力を使うなと言葉が飛んできた。

「なら電話してくれ」
「……お前、電話出れるのか?」
「ぐはっ、それもそうだった。でも線香は……」
「それ位我慢しろ。気づく前までは平気だったんだから問題ないだろう」
「酷い男だ。行ってらっしゃい」

笑顔で見送るが、長はそれに反応することなく出て行った。
ドアが閉まり、足音が遠くなってから、笑顔を消し後ろを振り返る。

「いるのは分かっている。長の知り合いか?」
「……幽霊同士は見えるようだねぇ」

ゆらり、とふらつくように出てきた男。
その男が歩くと、その足跡は赤い血だまりになっている。
よく見れば口周りが血だらけだ。

「誰だ?」
「箕輪勢一。密葬課だった人間だ」
「……と言う事は、長の……」
「あぁ、元部下さ」

左肩に手を置き不気味に笑う男、箕輪に撻器は問いかける。

「どうやってここに?」
「気づいたらこうなっていたからねぇ。今まで彷徨い続けていたらここにたどり着いたわけだ」
「そうか。長に顔を合わせてやったらどうだ?」
「そうしたいのもやまやまだが……どうやらあたしの事が見えていないようだ。密葬課に行ってみたが、誰1人反応してくれない。あんたとは違って生きてる人間には見えないようだ」
「そうなのか……」

どう言った基準で見える・見えないが決まっているのかは不明だが、どうやらその人物との関係で見える見えないが決まるわけではないのか、と撻器は考えた。
今度は箕輪が撻器に問いかける。

「俺はあんたの事を知っちゃいないが……課長の何だってんだい?」
「元敵同士だったものだ。今は友人だがな」
「ひひっ、友人ねぇ……嘘は言っちゃいけないよ」
「嘘じゃない」
「嘘だよ。あの人はそこまで人を踏み込ませないさ。部下の事は信頼しているが、それも一定の距離までだ。それ以上踏み込ませることは許さない人だよ」
「踏み込ませない?そんなの知るか」

その言葉に箕輪は眉根を寄せる。
はっきりと言い切った言葉は彼に不快を与えたようだが、撻器には関係ない。

「奴がどう考えていようが、人を踏み込ませないとあいつとの付き合いが長いお前が言おうが、こうして俺と一緒にいるんだ、もう友人だろ」
「あんたの場合は居ついている、と言ってもいいんじゃないのか?」
「見えているのが長しかいないからな」
「なら、見える人がいれば、あの人じゃなくてもいいって事か」

今度は撻器が眉根を寄せた。

「そうは言っていない」
「同じ意味だろ?課長はあんたの姿が見えるからここにいる。なら、あんたのところの賭郎……だったか?の人間が見えていたら、そっちに行くだろ?」
「奴等には俺の姿は見えていない」
「どうだか。もう一度確認してみて、向こうに戻ってやったらどうだ?」
「今の俺では賭郎まで行く力がない」
「ひひっ、体力が無いんだねぇ」
「……お前もここにいるのか?」
「いいや。見えるかどうかの確認をしに来ただけだ。あんたへの忠告もできたし、もう用はない」
「これからどこに行くんだ?」
「さぁね。天国でも地獄でもいいから行ければ楽になれるんだろうが、分からない以上は彷徨うしかないねぇ」
「……」
「あたしから言えることは、これ以上課長の領域に入ろうとするな。はやく賭郎に戻れ、かな」
「ありがた迷惑な忠告をありがとう。長にお前が来たことは言っておくべきか?」
「どちらでもいいよ。見えていないなら何も変わらない」

これ以上話す気が無いのか、背を向けて奥へと進みだす。
そのままドアをすり抜けていき、箕輪の気配が消えた。

「嫉妬とは醜いぞ、箕輪とやら」

血だまりになっている足跡を眺めて、撻器は笑った。
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女性
自己紹介:
撻器さんと長の組み合わせが大好物な腐女子です
妄想をいただけると勝手に書いていることもあります

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